前回のブログでは「良いビジネス英語は簡潔で明確です。」という話をさせていただきました。
そして簡潔で明確な英文を書くには、
ライティング自体と、ライティングをどのように見せるか(フォーマット)
という二つの要素を組み合わせることが非常に重要であるとお伝えしました。
また、「ライティングの三つのガイドライン」の一つ、「逆ピラミッドという原則」を紹介しました。
今回は二つ目のガイドライン「文章構造(特に能動態)」について書きたいと思います。
このような文章を読んだことはありますか?
冷凍食品は、多様なライフスタイルに対応できる食生活のソリューションとして、先進国を中心に今後も安定成長が見込まれる有望な市場です。さらに、「安心安全で、もっとおいしく」という生活者の欲求、食料の安定供給や環境問題等の社会課題への対応が期待され、冷凍食品の果たす役割は今後ますます大きくなっていくと考えられます。
非常によくある日本語の文章です。
日本の文化を反映しているのか、日本人の性質を反映しているのか…言い切りたくない、濁したいという言葉を耳にします。
特にIRのご担当者様からは、「これは柔らかく言いたい」「強く言いたくない」「具体的に言いたくない」と、聞くことが多いです。
明確ではないこのような文章構造を、「受け身」や「受動態」と言います。
受動態(じゅどうたい、英: passive voice)とは、典型的には、能動態とは違って行為者が主語にならずに、行為を受ける対象が主語となる態である。被動態(ひどうたい)または受身(うけみ)とも呼ばれる。(Wikipedia)
この説明は大変分かりやすいと思います。
受動態の構造を簡単に描くとこんな感じです。
ここでお伝えしますが、受動態は英語としては好まれる文章構造ではないということです。
受動態を使うと、何かを隠してるのではないかという違和感があります。
曖昧な言葉は英語では好まれません。誰が、何を、何に対して、ということを明確に知りたいです。
この受動態という文章構造を日本人は大変好む傾向があると思います。
しかし、受動態の日本語を英語にすることを考慮せずにそのまま英語にすると、不自然になることが多々あります。
では英語にするときはどうすればよいのか。はい、ここで能動態の登場です!
英語は能動態で書くことが基本です。
能動態の構造を簡単に描くと…
では、ここで、受動態を能動態にしてみましょう。
ABCグループは1972年に冷凍食品事業に参入しました。製品開発力、マーケティング力、生産技術を強みとし、社会の変化や新 たな需要へ対応していくことで、社会価値と経済価値を共に創出します。
この文章では「誰が」「何を」ということが明確です。
英語で受動態を全く使わないというわけではありません。
ここで覚えていただきたいポイントは、文章全体の10%前後が受動態だったら、問題ないということです。
それ以上になると、読み手は違和感を覚えると思います。
受動態の割合をどう計るか、これに関しては次回のブログで説明したいと思います。
そしてここでもう一つ、「この英訳だと強い言い方に感じるので、日本語と同じように、もう少し丁重に、謙虚に表現したい」というお言葉をよく聞きます。
実は、皆さまが想像されるほど、強い表現の英語というものはありません。
英文が強く感じるかどうかは、形容詞と副詞をどのように使うかでほぼ決まります。
しかし、そもそも良い英文のビジネスライティングでは形容詞と副詞を多用しないので、問題ないと思っています。
私が翻訳をするときは、日本語の原文で使われている形容詞や副詞で、必要がないものや、その文章の中で特に意味を持たないと思うものはできる限り割愛し、割愛する理由をお客様に説明するようにしています。
時間がある時にゆっくり海外のIRライティングを読んでみてください。
読みやすく、簡潔で明確な文章は、形容詞と副詞が少ないということに気がつくと思います。
前回とここまでで、
逆ピラミッドという原則
文章の構造(特に能動態)
について紹介させていただきました。
では、 最後に 「ライティングの三つのガイドライン」で話したいことに移りたいと思います。
貴社が使っている英文・グローバルビジネス英語が外国人にとって読みやすい英語かどうか、どのように判断できますか?
外注されている翻訳会社の英訳の品質の良し悪しに対して、どのような判断基準を持っておりますでしょうか?
読みやすいという言葉を使いましたが、説得力という言葉を使ってもいいかもしれないです。
外国人の株主や投資家にとって違和感のない文章であるかどうか。
実は、客観的に英文の読みやすさを計る数式が存在します。
面白いことに、世界の共通語は英語ではなく数学であるという説があります。
私が紹介する数式と、この数式の要素がわかれば、読みやすい英文ライティングの専門知識を持てるようになります。
全く英語ができなくてもいいんです。この英文はいいかもしれない、この英文はおかしくないか?というヒントになります。
弊社でも、英文ライティングを評価するときに、必ず三つの数式も使い評価をしております。
次回のブログでは、わかりやすい英語なのかを評価する、この三つの数式についてお伝えしたいと思います。
Reference: ウィキペディア(Wikipedia)受動態
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%97%E5%8B%95%E6%85%8B
Eric Jackson エリック ジャクソン
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