効果的なIRが企業価値の差を生む理由

(English blog: How Effective IR Can Be a Competitive Advantage | One World Link)

前回のブログでは、Palantir Technologiesの会長であるピーター・ティール氏の動画が再び注目を集めたことを取り上げました。同氏は、AIの普及が数学系の分野と文章系の分野に与える影響の違いについて言及しています。

また、Wall Street Journalの記事をもとに、企業が「ストーリーテリング」を通じた情報発信を重視する傾向が高まっている点についても紹介しました。

本記事では、この議論をさらに一歩進め、投資家向け広報における効果的なストーリーテリングが、なぜ競争優位性につながるのかを考えていきます。

IRにおいてストーリーが重要な理由

投資家は、数値だけで企業を評価しているわけではありません。

財務指標は重要な判断材料ですが、その数値の背景にある戦略を理解することも同様に重要です。

調査によれば、投資家向け広報におけるコミュニケーションの質や頻度の向上は、企業価値、流動性、機関投資家保有比率の改善につながることが示されています。(*IDEAS / RePEc journal article)

言い換えると、優れたストーリーは市場における企業の評価に影響を与える可能性があります。

このストーリーは一般に「エクイティストーリー」と呼ばれ、以下の要素を結び付ける役割を果たします。

・事業戦略
・競争ポジション
・成長機会
・資本配分の方針
・長期的な価値創造

ここで、Corbin Advisorsによるレポート『Maximizing Valuation Through Strategic Investor Communication』を見てみます。Corbin Advisorsは、投資家向け広報およびコミュニケーション分野における戦略アドバイザリーを提供し、上場企業の持続的な株主価値の構築を支援する米国企業です。本レポートでは、現代の資本市場において効果的なコミュニケーションの重要性が高まっている点が示されています。

投資コミュニティへの24,000件以上のインタビューに基づく同社の調査によれば、企業価値の約40%は投資家向け広報およびコミュニケーションによって、プラスにもマイナスにも影響を受ける可能性があるとされています。また、強い実行力と優れたコミュニケーションを両立していると認識されている企業は、株価上昇率において同業他社を大きく上回る傾向があることも示されています。(Corbin Advisors PDF)

Corbin Advisors, Maximizing Valuation Through Strategic Investor Communication, 2025

多くの企業を同時にフォローし、膨大な情報に直面している投資家にとって、明確で説得力のある投資ストーリーは、関心を引き付け、長期的な信頼を構築するうえで重要な役割を果たします。詳細については、ぜひ本レポートをご参照ください

企業コミュニケーションにおけるAI活用の拡大

近年、多くの企業がコスト削減や業務効率化を目的に、AIの活用を進めています。投資家向け広報の分野では、人員の削減や、従来は外部の翻訳会社やコミュニケーション専門家に委託していた業務を、AIツールや生成系翻訳によって内製化する動きとして現れています。

一方で、企業文書においてAIツールや生成系翻訳に依存することは、反復的で二次的なアウトプットにより、自社独自のストーリーや表現を失うリスクを伴います。

一見すると、AIの活用や人員削減は効率的に見えます。AIツールは、日本語の原文から英語の文章を迅速に生成でき、情報の要約やドラフト翻訳も短時間で行うことが可能です。しかし、AIへの依存度が高まるほど、企業固有の表現やストーリーが徐々に失われていく可能性があります。

多くの企業が同様のツールやプロンプトを使用すると、アウトプットは画一的になりやすくなります。その結果、企業のメッセージは次第に均質化し、汎用的で競合他社との差別化が難しいものになっていきます。

日本語から英語への翻訳の難しさ

日本語と英語は、翻訳において大きく異なる言語です。文構造、語彙の選択、ビジネス文書のトーンに至るまで、明確で効果的なコミュニケーションを実現するには、単なる直訳以上の対応が求められます。

日本語のビジネス文書は、長い文、間接的な構造、主語の省略に依存する傾向があります。一方で、英語の投資家向けコミュニケーションでは、結果を先に示す構成、明確な主語、能動態が一般的です。

大規模言語モデルを用いた翻訳では、日本語の文構造をそのまま反映した英文が生成されることが多くあります。文法的には正しくても、直訳に近い英文となりやすい点に注意が必要です。

このような英文は、海外投資家にとって読みにくく、理解しづらい場合があります。日本語の構造に過度に依存すると、メッセージが伝わりにくくなり、コミュニケーションの効果が低下する可能性があります。

さらに、サステナビリティやESG開示においては、近年さまざまなフレームワークやガイドラインが普及しています。ISSB、GRI、TCFDなどの基準では、類似した情報を類似した用語で開示することが求められる傾向があります。その結果、英訳後のサステナビリティ関連の記述が、各社でほぼ同じ表現になるケースも見られます。

これらのガイドラインに従うことは不可欠です。しかし、どのように伝えるかについては、各社に裁量があります。

簡潔で明確な文章は、より少ない語数で同じ情報を伝えながら、自社の戦略や強みを際立たせることができます。同じ開示内容であっても、より分かりやすく効果的に伝えることで、グローバル投資家に対する差別化につながります。

コミュニケーションによる差別化

現代の投資家は膨大な情報に直面しており、機関投資家の多くは同時に数十社をフォローしています。

このような環境では、明確かつ一貫性のあるコミュニケーションを行う企業ほど、投資家の中で際立ちやすくなります。

質の高い投資家向けコミュニケーションは、企業にとって以下の点で有効です。

・投資家との信頼関係の構築
・複雑な戦略の明確な説明
・競合他社との差別化
・長期投資家の獲得

そのため、ストーリーテリングに注力する企業は、汎用的なコミュニケーションに依存する企業に比べて優位性を確保しやすくなります。

Plain Englishの活用

IRコミュニケーションを改善するための実務的な方法の一つが、Plain Englishの活用です。

Plain Englishは、明確さと分かりやすさを重視する書き方であり、グローバルな読み手に向けたコミュニケーションに適しています。このアプローチでは、投資家が容易に理解できる形で情報を提示することが求められます。

Plain Englishについては、こちらの過去ブログもあわせてご覧ください。今後のブログでは、Plain Englishの考え方や実務での活用方法について、さらに詳しく解説していきます。

まとめ

近年、多くの企業が翻訳にAIや生成系ツールを活用するようになっています。しかし、効果的なIRは単にスピードや量の問題ではありません。メッセージの質と、自社ならではのストーリーをいかに差別化するかが重要です。

質の高いコミュニケーションとプロフェッショナルなライティングに取り組む企業は、投資家の理解を深め、信頼関係を構築し、グローバルな資本市場において差別化を図ることができます。

AIでは伝わらない。いま企業に求められる「ストーリーテリング力」とは

(English blog: The Rise of Storytelling in the Era of AI | One World Link)

近年、欧米企業のインベスターデーや決算説明会において、「storytelling」や「storyteller」といった言葉の使用が明確に増加しています。企業の求人情報にも同様の変化が見られ、AIの活用が進む中でも、ストーリーテリングを重要なスキルとして求める職種が増えています。つまり企業は、単なる情報開示ではなく、「どう伝えるか」を重視し始めているといえるでしょう。

Palantir Technologiesの会長であるピーター・ティール氏による過去のAIに関する発言が、ここ数カ月で再び注目を集めています。

AIは、言語分野よりも数学分野に大きな影響を与える可能性がある(*1

実際に、AIは高度な数学問題を解くレベルに近づいています。
一方で、企業コミュニケーションの領域では、むしろ逆の動きが起きています。

  • AI活用は進む
  • しかし「人が伝える価値」への需要は増加

このギャップこそが、「ストーリーテリング需要」の背景です。

米国では、銀行をはじめとする金融機関においてAIが大きな関心事となっており、AIの活用を理由とした人員削減や、その可能性に関する発表が相次いでいます(*2)。さらに、Scientific Americanの記事(*3)によれば、あるAIモデルが非公式の2025年国際数学オリンピックのテストにおいて、6問中5問を解いたと報告されています。

では、「言語系の人材」はどうでしょうか。また、IR担当者として、自身をそのような立場にあると捉えることはあるでしょうか。AIの進展は、企業コミュニケーションやライティングに関わる職種にどのような影響を与えているのでしょうか。

2025年12月、Wall Street Journalは米国企業におけるストーリーテリングの重要性に関する記事を掲載しました。同記事では、GoogleやMicrosoftなど、多くの企業が「ストーリーテラー」を求めている点が紹介されています(*4)。

記事の中では、次のように述べられています。

「マーケティング企業やテクノロジー企業は、これまでも他分野の誇張的な表現を取り入れ、企業内の職種をより魅力的に見せてきた。テクノロジー・グル、開発者ニンジャ、SEOロックスター、さらにはデジタル・プロフェットといった呼称の流行はすでに過去のものとなっているが、給与制のコミュニケーション担当者を『ストーリーテラー』と呼び、その実践としてのストーリーテリングは、むしろ人気を高めている。」

つまり、従来のライティング業務の価値に疑問が投げかけられる一方で、企業はストーリーテリングに関わる人材の採用を引き続き強化しています。では、ストーリーテリングとは具体的に何を指し、誰がその担い手となるのでしょうか。

ストーリーテリングとは、情報を単に個別の事実として提示するのではなく、アイデア同士をつなぎ、明確で引き込まれるような一貫した物語として伝えることを指します。ストーリーテラーとは、その物語を設計し伝える役割を担う人材であり、何を強調するか、どのように情報を構成するか、どのように読み手にとって分かりやすく魅力的に伝えるかを判断します。

企業の文脈では、ステークホルダーが企業の戦略、業績、今後の方向性を一つの一貫したストーリーとして理解できるように情報を構成することが、ストーリーテリングに該当します。

このようなコミュニケーションを、「編集」や「広報」といった従来の用語ではなく、「ストーリーテリング」と表現する動きが近年増加しています。

実際、Wall Street Journalによると、LinkedIn上の求人において「storyteller」や「storytelling」といった語を含む掲載数は、過去1年間(2024年11月27日〜2025年11月26日)で倍増しました。記事掲載時点では、マーケティング関連の求人が約50,000件、メディアおよびコミュニケーション関連が約20,000件に達しています。

同記事では、この変化の背景についても示唆されています。情報の受け取り方の変化が一因と考えられます。読者は従来の新聞から離れ、企業はソーシャルメディアなど自社のチャネルを通じて直接情報発信を行うようになっています。

こうした変化は、読み手と企業の双方におけるコミュニケーションのあり方に影響を与え、ひいては企業がこれらの役割をどのように定義し、人材を採用するかにも影響を及ぼしていると考えられます。

金融データおよび分析サービスを提供するFactSetも、インベスターデーや決算説明会において、「storyteller」や「storytelling」といった言葉の使用頻度が増加していると報告しています。また、CEOや企業の間では、「editorial」や「press relations strategy」といった従来の用語から、「storytelling」や「content strategy」といった表現へとシフトが見られます(*4)。

FinTech企業であるChime社の最高コーポレートアフェアーズ責任者であるJennifer Kuperman氏は、次のように述べています。「“editorial”という言葉は、企業の情報発信を“記事を書くこと”といった限定的な活動として捉えがちです。しかし実際には、企業のメッセージは記事だけで伝えるものではありません。ストーリーは、ソーシャルメディア、ポッドキャスト、経営陣の発信、イベント、メディア対応など、さまざまな手段を通じて伝えることができます。」(*4)。

これらの動向を総合すると、企業はコミュニケーションを、ステークホルダーの理解を形成する手段として捉える傾向を強めているといえます。投資家向け広報や企業コミュニケーションに携わる担当者にとって、このストーリーテリングへのシフトは、英語開示の書き方や情報の提示方法に対する期待水準の高まりを意味します。

まとめ

AIは急速に進化していますが、その一方で、AIへの依存が高まることによる不信感やリスクも指摘されています。企業は、より人間らしく信頼性の高いコミュニケーションを通じてターゲットとする読み手にアプローチしようとする傾向を強めており、その結果、ストーリーテリングを重視する役割への需要が高まっています。

ピーター・ティール氏が示唆したように、AIは高度な数学的課題の解決に近づいているかもしれません。しかし、ライティングにおいては、依然として人の役割が不可欠です。

この変化により、英語でどのように自社のストーリーを伝えるかの重要性は一層高まっています。IR開示文書は正確な情報を提示するだけでなく、主要なメッセージを明確で一貫したストーリーとして構成する必要があります。これは原文と英訳文の双方において求められます。

One World Linkでは、お客様のストーリーを世界に向けて伝えることを重視しています
日本語から英語への翻訳を通じて、明確で自然、かつ投資家に適したストーリーとして伝わるように、「人」と「AI」の両軸で、企業の英語開示を支援しています。

ご不明点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。英語での情報発信が自社のストーリーを的確に支えるものとなるよう、サポートいたします。

出典

1. YouTube video
Mercatus Center. (2024, April 17). Peter Thiel on political theology | Conversations with Tyler [Video]. YouTube.
https://www.youtube.com/watch?v=vfbndRTlsg4


2. Yahoo Finance article
Ma, J. (2026, March 8). Peter Thiel warned AI is coming for math people before word people. Banks have already said smaller headcounts are possible. Yahoo Finance.
https://finance.yahoo.com/news/peter-thiel-warned-ai-coming-180944036.html


3. Scientific American article
Reihl, E. (2025, August 7). AI took on the Math Olympiad, but mathematicians are not impressed. Scientific American.
https://www.scientificamerican.com/article/mathematicians-question-ai-performance-at-international-math-olympiad/


4. Wall Street Journal article
Deighton, K. (2025, December 12). Companies are desperately seeking storytellers. The Wall Street Journal.
https://www.wsj.com/articles/companies-are-desperately-seeking-storytellers-7b79f54e

日本語レポートの英語表記、本当に正しいですか?

(English blog: Are You Using Incorrect English in Japanese Design? | One World Link)

日本語の報告書デザインの中で英語を使用していますか。

ブランディングやグローバル対応、または開示資料全体での一貫性を目的として英語を取り入れるケースが増えています。しかし、最終的なレイアウトを確定する前に、必ずネイティブの英語話者による確認を行うことが重要です。

この確認がないままデザインを進めてしまうと、レイアウトに組み込まれた英語表記に問題が潜んでいることが多く、翻訳段階になって初めて課題が表面化することがあります。その時点でデザインを修正しようとすると、大幅な変更が必要になる場合があり、日本語版と英語版のどちらにも影響が及ぶ可能性があります。

課題が発生するポイントはさまざまで、カタカナ英語、短い英語ラベル、英語ベースの見出し、タグライン、その他のコピー表現など、多岐にわたります。以下では、IR・ESG関連の日本語報告書で特によく見られる代表的な例をいくつか紹介します。

カタカナ英語

日本語の報告書で使用される英語表現の多くは、カタカナ語や日本語の文脈では自然に機能する略語が元になっています。しかし、これらの表現は英語として見ると明確さを欠くことがあり、誤解を生む場合もあります。よく見られる例として、次のようなものがあります。

  • テーマ

Theme と訳されることが多い言葉ですが、文脈によっては適切ではありません。topics、discussion points、focus areas など、内容に合わせた訳語を検討する必要があります。

  • インプット・アウトプット(または類似の見出し)

Input や Output が適切な場面もありますが、文脈によっては複数形が求められます。日本語のカタカナ語はそもそも単複の概念を持たないため、そのまま訳すと意図が伝わりにくくなる可能性があります。場面に応じて、singular と plural のどちらが必要なのか判断しながら翻訳することが重要です。

  • トップメッセージ

日本語レポートで頻繁に見かける見出しですが、Top Message は米国のコーポレートコミュニケーションでは一般的ではありません。Message From the CEO や CEO Message など、より自然な選択肢があります。

これらの訳語は必ずしも誤訳というわけではありませんが、英語として見ると幼稚、直訳的、あるいは「日本語の構造をそのまま英語に置き換えた表現」に見えることがあります。さらに、こうした英語が背景デザインやグラフィックの中に組み込まれている場合、翻訳段階で問題が見つかっても簡単に修正できません。

デザイン段階の早いタイミングで、ネイティブの英語話者や信頼できる翻訳会社に確認することが非常に重要です。

タイポグラフィ

日本語レポートの中で英語を使用する際は、タイポグラフィにも注意が必要です。日本語用に最適化されたフォントは、英語の文字間隔(kerning)や文字の形状に必ずしも対応していません。英語に適したフォントを選ぶことで、英語表記が日本語版・英語版のどちらでも整った印象になり、文字間隔の不自然さやレイアウト上の不一致を防ぐことができます。

下の例では、同じフレーズを4種類のフォントで表示しています。右側には Georgia と Arial(英語向けフォント)、左側には 游ゴシック と メイリオ(日本語向けフォント)を使用しています。

日本語向けフォントでは、文字一つひとつの間隔がわずかに広くなっていることが分かります。この文字間隔が kerning(カーニング) です。英語では、この間隔が引き締まりバランスよく整っているほど、洗練された印象になります。

また、日本語フォントは漢字や仮名の縦方向の特徴に対応するため、英語フォントよりも広めの leading(行間) が設定されています。そのため、日本語フォントで英語の段落を組むと、行間が広くなりすぎて間延びしたレイアウトになってしまうことがあります。

英語向けフォントについて詳しく知りたい方は、こちらのブログをご覧ください
日本語向けフォントについては、こちらをご参照ください。

まとめ

日本語の報告書の中で英語を使用することは、グローバルな印象を高めるうえで効果的です。ただし、その英語が正確で自然であり、タイポグラフィの観点からも適切に整えられていることが前提となります。直訳的な英語やフォーマットが不適切な英語は、翻訳段階で修正が必要になることが多く、日本語版のレイアウトが英語の仕様を考慮していない場合、対応が難しくなることがあります。

英語を使う前提でレイアウトや構成を検討すると、日本語版・英語版の双方の完成度が高まります。明確で一貫した英語は、投資家の理解を促し、IRコミュニケーションに求められるプロフェッショナリズムを示すことにつながります。

One World Link では、日本語レイアウトに組み込まれた英語のチェックから翻訳前の事前確認まで幅広くサポートしています。ぜひお気軽にご相談ください。

英語をより自然に見せるための簡単な方法の一つ

(English blog: One Easy Way to Make Your English Writing Appear More Natural | One World Link)

日本語のリストや同じ階層に並ぶ項目をそのまま英訳すると、英語で重要な要素である「パラレル構造(parallel structure)」が抜け落ちてしまうことがあります。

パラレル構造とは、リストや同じグループ内の項目を、文法や表現の形式をそろえて示すことを指します。直訳では日本語の構造をそのまま反映してしまいがちですが、英語でパラレル構造が欠けると、読みにくさや違和感につながります。

質の高い英語は、正確さだけでなく構造の分かりやすさにも支えられています。構成が明確で一貫していると、読み手は重要なポイントをスムーズに理解でき、海外の読者にも迷いなく情報が伝わります。

非パラレル構造

OWLでは、日本語の報告書でパラレル構造になっていないリストや語句の並びをよく目にします。動詞、名詞、動名詞(ing形)、その他さまざまな品詞が一つのリストに混在するケースが多く、日本語では文脈から意味を推測できるため問題になりにくい表現です。しかし、英語では同じ読み方ができません。

構造に統一性がないまま提示すると、英語では不均一に見え、読みづらさが生まれます。特に、明確さと一貫性が求められるIR文書においては、読者の理解を妨げ、コミュニケーション上の問題につながる可能性があります。

以下の日本語の例をご覧ください。

このリストをどのように訳しますか。直訳すると、パラレル構造ではない次のような英語になるかもしれません。

項目③をご覧ください。最初の二つの項目とは異なり、environmentally friendly activities には動詞が含まれていません。この動詞の欠落は、英語の読者にとって違和感があり、企業がこれらの活動に対して「どのような行動を取るつもりなのか」が読み取れなくなってしまいます。

環境に配慮した活動に「取り組む」予定なのか。
それとも活動への参加を「増やす」予定なのか。
新たに活動を「開始」するのか。
現在の取り組みを「継続」するのか。

読み手は目的を推測しなければならなくなり、意図が正確に伝わりません。

パラレル構造を整えることで、読み手は内容をスムーズに追うことができ、誤解を防ぎ、重点項目が明確になります。また、文章全体に一貫性と洗練さが生まれ、信頼性の高いコミュニケーションにつながります。

同じ階層に並ぶ項目

同じ階層に並ぶ表現は、必ずしもリストとしてまとめられているとは限りません。
その一例が「マテリアリティ」です。マテリアリティは、サステナビリティレポート、ESG開示、IR資料など、さまざまな報告書で広く用いられる要素となっています。

各マテリアリティをレイアウトする際は、リスト形式でなくても、同じ階層に並ぶ項目は同じ時制・同じ文法構造で統一することが重要です。報告書内の複数のセクションで登場する場合でも、一貫した形式を保つことで読者にとって理解しやすい表現になります。

次のマテリアリティを見てみましょう。

パラレル構造になっているでしょうか。
それとも、動詞、名詞句、動名詞が混在している箇所を確認できますか。
もし混在が見られる場合、どのように修正できるでしょうか。

このマテリアリティの並びがパラレル構造になっていないと感じたのであれば、正解です。

では、どのように修正するのが最も効果的でしょうか。

対応方法として、次の三つが挙げられます。

  1. 動詞や動名詞(“-ing” で終わる形)をすべて名詞句に統一する
  2. 名詞句や動名詞をすべて動詞フレーズに統一する
  3. 名詞句と動詞フレーズをすべて動名詞に統一する

次に、編集後のマテリアリティ内容を見てみましょう。

このグループの各項目はパラレル構造になっているでしょうか。
正解は「はい」です。

今回の修正では、すべての表現を “–ing” で終わる形(動名詞)に統一しました。
ただし、どの形式にそろえるべきかは一概に決まっているわけではありません。plain verb(動詞の原形)、“-ing” verbs(動名詞)、あるいは名詞句のいずれを選ぶかは、文書全体のスタイルや文脈、そして読みやすさとのバランス によって変わります。

まとめ

直訳では、英語で重要となる構造上のサインを見落としてしまうことがあります。英訳時にパラレル構造を意識することで、誤解を防ぎ、日本語の意図をより正確に伝えることができます。

同じ階層に並ぶ表現や複数の要素を示す際にパラレル構造を整えることで、文章に一貫性と洗練された印象が生まれます。明確な構成は海外投資家の理解を助け、信頼性や透明性の向上にもつながります。

英文の一貫性づくりでお困りの場合は、ぜひ One World Link にご相談ください。

なぜ統一したテーマ設定が統合報告書のメッセージ性を高めるのか

(English blog: Why Using a Consistent Theme for Integrated Reports Strengthens Your Global Message | One World Link)

統合報告書やサステナビリティレポートは、企業のストーリーをグローバルな読者に伝える重要な役割を担います。これらの文書は、戦略、目的、進捗を国内外のステークホルダーに示すものであり、各セクションが企業が伝えたい全体像を形作る一部となります。読者がどのようなストーリーを受け取るかを決める鍵となるのが、報告書全体を導く「テーマ(全体メッセージ)」です。

テーマは、表紙に載せるキャッチコピーではありません。企業の価値観やフィロソフィー、そして報告書全体で伝えたいメッセージを支える役割を持つ必要があります。

もしセクションごとにテーマが変わってしまうと、読者は企業が示す方向性を理解しづらくなります。統一したテーマを設定することにより、報告書全体の一貫性が保たれ、読み手は冒頭から最後まで明確なメッセージを追いやすくなります。

統一したテーマは読みやすさを高めるだけでなく、企業の信頼性向上にもつながります。投資家は企業から明確なメッセージを求めており、強いテーマ設定は、組織としての意図や方向性が確立されていることを示すことができます。

セクション全体でテーマを統一する重要性

統合報告書に掲載される見出しを例に見てみましょう。

表紙
Innovation for Growth

CEOメッセージ
Creating Stakeholder Value

ESGセクション
Building a Sustainable Future

これらの見出しを見ると、読者は各セクションがまったく異なる概念を扱っているように感じる可能性があります。いずれも重要なポイントを示していますが、焦点がばらつくことで読者の注意が分散し、報告書全体が断片的に見えてしまいます。

次に、「Innovative Growth(革新的な成長)」という一つのテーマで統一した例を示します。

表紙
Innovation for Growth

CEOメッセージ
Innovative Growth Builds Shareholder Value

ESGセクション
Innovative Growth Leads to a Sustainable Future

このように見出しを修正すると、各メッセージが一つのテーマにつながり、セクション間で一貫性が生まれます。また、企業が革新的な成長に真剣に取り組んでいるという印象を強めることができます。

各セクションが同じ核となる考え方を展開していると、報告書全体に意図性が生まれます。テーマが戦略ストーリーを支え、リーダーシップメッセージ、ESG施策、長期的な価値創造がどのようにつながっているのかが、読者にとってより明確になります。

テーマ設定が統合報告書に不可欠である理由

Storyraise Technology Inc. が運営する Storyraise の記事では、統合報告書にテーマを設定する重要性について、多くの理由が紹介されています。特に、テーマを設定することで得られる主なメリットとして、以下の点が挙げられています。

テーマは…

  • ストーリー性のある報告を可能にする
  • 企業のブランドをより人間的に見せる
  • インパクトのあるメッセージを届けやすくする
  • 書き手と読み手の両方が内容の軸を見失わずに済む
  • ブランドの方向性を再確認する機会を生む
  • 過年度の報告書との差別化につながる

記事の中では、テーマがない場合の問題点についても触れられており、
「テーマがなければ、読者はストーリーを読んでいる感覚を持てません。まるで教科書や退屈な財務報告書を読んでいると感じてしまいます。」
と指摘されています。

まとめ

強いIR・ESGレポートには、明確なテーマ設定が欠かせません。各セクションが一つの考え方に基づいて構成されていると、文章全体のメッセージがより深く読者に伝わり、企業のグローバルメッセージもより一貫したものになります。

One World Link では、テーマ構成の整理、日本語と英語のメッセージの整合性確保、読みやすさの向上など、統合報告書およびESG関連資料の質を高めるお手伝いをしています。
無料の英語翻訳品質診断レポートもご利用いただけます。
https://www.oneworldlink.jp/satei.php

縦組みデザインは英語レポートの読みやすさを損なう理由

(English blog: Why Vertical Japanese Text Design Ruins English Reports | One World Link)

日本語と英語が、まったく異なる言語だということに異論を挟む人はいません。「語順が逆に見える」「読み進める方向が違う」など、両者は正反対と言ってもいいほどです。

英語は、日本語よりも文章量が約2倍になることをご存じでしょうか。グラフのラベル、見出し、デザイン要素など、限られたスペースに英語を押し込むのは至難の業で、翻訳者が工夫を凝らす場面も多くあります。

しかし今回取り上げたいのは、その中でも特に大きな問題を引き起こす「縦組み」の英語表記です。

縦組みは英語読者にとって悪夢

縦組みは日本語のデザインでは日常的に使われますが、英語では全く別の話になります。混乱のもとになり、読者に強いストレスを与えます。理由は次のとおりです。

• 読みの流れを妨げる:
英語の読者は、左から右、上から下へと情報を処理します。縦組みはその流れを強制的に止め、首を傾けたり、読み方を考えたりする必要が出てきます。慣れていない読者は、その箇所を読み飛ばすことさえあります。

• 誤読のリスクが高い:
財務情報、マニュアル、技術文書など、複雑な文書では特に問題になります。英語読者は左から右への流れを前提に情報を解釈するため、縦組みのラベルや配置によって「どのデータを指すのか」「これは見出しなのか、補足情報なのか」がわかりにくくなります。

仮の統合報告書をもとに作成した例をご覧ください。
図1

このように縦組みを多用すると、英語読者はレポートを読むために、ほとんど首をひねらざるを得ません。

(実話ですが、私は以前、縦組みの見出しだらけの80ページの統合報告書を編集したことがあります。80ページすべてがこの形式だったことを想像してみてください。)

Journal of Vision に掲載された研究では、縦組みのテキストを読む速度が横書きと比べて大幅に低下することが示されています。(Journal of Vision)

数カ所の縦組みであれば、読者は多少無理をして読もうとするかもしれません。しかし、80ページ丸ごと縦組みとなると話は別です。読者は「ここまで読みにくい資料なら読む価値はない」と判断する可能性があります。

海外投資家を含む読者は、スムーズに読み進められる資料を求めています。縦組みの英語表記は理解の速度を落とし、資料への信頼感を損ねる要因になります。

縦組みを避けられない場合

もちろん、縦組みを完全に避けられない場面もあります。

多くの場合、英語版の作成段階に入る頃には、デザインがすでに確定しており、大幅なレイアウト変更が難しいケースもあります。

では、どうすればよいのでしょうか。
図2 をご覧ください。

図を見ると、Our Purpose がページの外側を向いています。
英語は上から下へ読むため、「英語の縦組みはこの向きが正しい」と感じる方もいるかもしれません。

しかしご存じのとおり、英語には「例外」がつきものです。

もし Our Purpose に下線を引いた場合、その線は空白部分の方向へ向いてしまい、本来見出しが指し示すべき本文とは逆側に傾きます。これでは、見出しの下に内容が続くようには見えず、読者は関連する文章が存在しないと誤解する可能性があります。

このような場合、見出しが必ず本文側を向くように、テキストを時計回りまたは反時計回りに回転させるのが最適です。すべての見出しが同じ方向を向かなくても構いません。読者が自然に内容へと視線を誘導できることが最も重要です。

では、図1 をもう一度見てみましょう。

図1(修正版)

修正版の見出しは下から上へ読む形式となり、他の見出しとは向きが異なりますが、見出しが正しい情報に向かっているという点が最も重要です。

Adobe InDesign や Microsoft Word などのツールには、縦書きテキストをより適切に配置するための機能があります。レイアウト全体を作り直さなくても、こうした機能を使うことで調整が可能です。

また、場合によってはスペースを少し広げて横書きに変更する方法もありますが、これは使用できるスペースに大きく左右されます。

図2(修正版)

この方法を選ぶ場合は、単語が複数行にまたがらない形で配置できるときに限り検討してください。

図3

まとめ

避けられるデザイン上の問題で読者を失わないようにしましょう。
英語版のレポートは、グローバル投資家にとって御社との最初の接点になることがあります。ラベルや見出しが読みにくい、不要に感じる、または不自然だと、読者は読み続ける意欲を失い、企業理解が進まなくなる可能性があります。

縦組みを避ける、または配置を工夫することは、単なるデザイン判断ではありません。信頼を築くための重要な要素です。
IR担当者にとって、資料が海外読者にとって読みやすい仕様になっているかどうかは欠かせないポイントです。縦組みの英語表記がある場合は、可能な範囲で見直し、適切な調整を行うことが大切です。

レポートを提出する前に、次の点を確認してください。

• 読みの流れを妨げる縦組みがないか
• 縦組みの見出しが適切に配置されているか
• 見出しを本文側に向けるなど、回転して改善できる箇所がないか

また可能であれば、早い段階からデザイン担当者と連携し、日本語と英語の双方に配慮したレイアウトを検討しましょう。早めのすり合わせが、大きな修正や後々の負担を減らします。

何を書くかだけでは伝わらない:「どう書くか」が重要

(English blog: Writing Is More Than ‘What’ You Say | One World Link)

投資家向け広報やグローバルコミュニケーションの現場では、「何を伝えるか」ばかりに意識が向き、情報を「どのように伝えるか」を見落としがちです。明確でプロフェッショナルな英語を書くためには、内容そのものだけでなく、情報の示し方が重要です。英語テキストの構成やレイアウトは、読者がメッセージを理解しやすいかどうかに大きく影響します。

プロのビジネスライティングでは、情報を整理し、わかりやすいセクションに分けて提示する手法をよく用います。海外の読者にとって、長い文章の塊は負担が大きく、内容を追いにくくなります。投資家向けプレゼンテーション、株主向けメッセージ、統合報告書など、どのような文書でも、段落が密集していると読み手の集中力が途切れ、重要な点が伝わりにくくなります。

読みやすく、理解しやすい文書にするために、箇条書きや番号付きリストを活用することをお勧めします。これらのツールは、要点を簡潔に示し、読み手が内容を整理しながら読み進められるように導きます。グローバル向けの企業コミュニケーションを担う方にとって、欠かせないスキルです。

箇条書きが有効な理由

海外読者は、簡潔で整理された情報を好みます。

英語圏のビジネス読者は、限られた時間の中で効率よく情報を把握するため、文章を流し読みする傾向があります。読み手は、重要な情報を素早く、明確に確認したいと考えています。

箇条書きや番号付きリストを使うと、情報量が多い内容でも、構造化され読みやすい形に変わります。読みやすさが向上するだけでなく、文章全体がよりプロフェッショナルに見え、海外のステークホルダーに複雑な内容をわかりやすく伝えられます。

主なメリットは次のとおりです。

• 視認性の向上:文章を箇条書きで区切ると余白が生まれ、読みやすさが高まります。
• 情報を素早く把握:段落を読まなくても要点をすぐに確認できます。
• 理解しやすい構成:複雑な内容でも、整理された形で簡単に追えるようになります。

非ネイティブにとっても、箇条書きは書き手の負担を軽減し、誤解を防ぎながら明確なメッセージを伝えるのに役立ちます。

次の例をご覧ください。

Our company adheres to multiple standards and recommendations, including the Task Force on Climate-related Financial Disclosures (TCFD) guidelines, the Global Reporting Initiative (GRI) standards, the United Nations Sustainable Development Goals (SDGs), the International Integrated Reporting Framework (IIRF), and the recommendations of the Sustainability Accounting Standards Board (SASB).

VS

Our company adheres to the following standards and recommendations:
• Task Force on Climate-related Financial Disclosures (TCFD)
• Global Reporting Initiative (GRI)
• United Nations Sustainable Development Goals (SDGs)
• International Integrated Reporting Framework (IIRF)
• Sustainability Accounting Standards Board (SASB)

このように、箇条書きを使うだけで、情報の理解が大幅に容易になります。

箇条書きと番号付きリストの使い分け

箇条書きは、項目の順序が重要でない場合に適しています。Ho(2023)の研究では、箇条書きが読み手の負担を軽減し、情報を素早く吸収できるようにする効果が示されています。例えば次の場面で有効です。

• 長いリストを細分化して示したいとき
• 主なポイントをまとめたいとき
• 重要な情報を強調したいとき

一方、番号付きリストは、順序や優先度が重要な場合に向いています。次のような内容で効果を発揮します。

• ステップ形式の説明
• 優先順位のあるタスク
• 時系列で示すイベントやプロセス


注意点

Clearly Scientific Ltd. の記事では、箇条書きを使う際のポイントが整理されています。特に押さえておきたい点は次のとおりです。

• 箇条書きの項目数を7つ以内にする
• テキストをできるだけ短く保つ
• 文章構造を統一する

長くて読みにくい文章をそのまま箇条書きに移しても、読みやすさは向上しません。箇条書きや番号付きリストの目的は、情報を「短く、わかりやすい単位」に分解することです。項目が多すぎると、読み手にとって逆に負担になります。

一貫性も重要です。英語では、動詞で始まる項目と名詞で始まる項目が混在すると不自然に見えます。多くの項目が動詞で始まるなら、他の項目も同じ形式に揃える必要があります。また、リスト内の項目の長さが大きく異なると読みづらく、記事でも次のように指摘されています。

「短い文章と長い文章が混在すると読み手の注意がそれやすく、各項目の重要度について誤った印象を与える可能性があります。」

英語文書をもっと伝わる形にするために

次に英語のコーポレートコミュニケーション文書を作成するときは、海外の読者が重視する「明確さ」と「構造」を意識してください。長い段落を区切り、必要に応じて箇条書きや番号付きリストを使い、読み手が要点を素早く確認できる形に整えましょう。

これらの手法は、日本語では同じように適用できない場合もありますが、英語のビジネスコミュニケーションでは非常に効果的です。次回のIR文書やステークホルダー向けメッセージで、ぜひ取り入れてみてください。

読み手に、よりわかりやすく整理された情報を届けられるようになります。

生成AI翻訳の品質は今どうなっているか?

(English blog: August 2025 Update on Generative AI Translation Quality | One World Link)

多くの企業でDX推進の一環として、コスト削減や業務効率化を目的に生成AIを導入されているかと思います。DeepL、ChatGPT、Geminiなどを使って、日本語から英語への翻訳に生成AIを活用されている企業も多いことと思います。

では、2025年夏時点における生成AIによる日英翻訳の現状はどうなっているのでしょうか?

我々OWLの翻訳チームは、生成AIや機械翻訳の活用にかなり精通しております。最近、翻訳品質において、見逃せない特徴や傾向がいくつか見られるようになってきました。本ブログでは、実際に私たちが遭遇した生成AI・機械翻訳による翻訳の不自然な例や問題点をいくつかご紹介していきたいと思います。すべての例は、実際のスクリーンショットに基づいており、特にIRやコーポレートコミュニケーションで生成AIを使用する際に注意すべきポイントを明らかにします。

ポイント1:シンプルな部分こそ見逃さない

図1〜図3は、「ESG」という略語がレイアウトの都合で3行に分かれていたため、機械翻訳ツールがそれぞれを「E」「sadist」「g」と訳した例です。「S」が「sadist(サディスト)」を意味するとは、当然どの翻訳者も思わないでしょうが、それでもこの結果は見過ごせません。 大文字・小文字の不統一や、単なるアルファベットが突然単語として訳されてしまう現象は、ちょっとしたフォーマットの違いで生成AIの出力が大きく崩れることを示しています。短い語句やシンプルな内容ほど安心しがちですが、AIが正しく処理できるとは限りません。こうした箇所こそ、一貫性を持って丁寧にチェックすることが重要です。

図4〜図6は、機械翻訳でよく見られる別の問題、「辞書的な出力」の例です。
これらの翻訳は、技術的に「誤訳」ではないものの、過剰な説明、かっこ書き、冗長な定義が含まれており、ビジネス文書としては不適切な表現になっています。さらに、今回のケースでは、そもそも翻訳された意味が文脈と合っていませんでした。正しい訳語は以下の通りです。

  • 支える → Support
  • なし → N/a
  • ときめっく → TTOKIMEKKU

補足:元の日本語では「ときめっく」は施設名として使用されていた固有名詞でした。
生成AIは、固有名詞、定訳、業界特有の用語を正しく処理するのが苦手な傾向があります。特に公式文書においては、こうした用語がどのように扱われているかを必ず確認することが重要です。

図7では、「URL」が「uniform resource locator」と訳されていますが、これは英語ではほとんど使われない表記です。
「URL」という表現が一般的であり、わざわざ正式名称を綴る必要はありません。

図8については、残念ながら説明の必要すらありません。「Polisy」は、「policy」の完全な綴りミスであります。

ポイント2:数値は必ず二重・三重に確認する

生成AIが数値を完全に誤ることもあります。さらなる事例については、こちらのブログをご覧ください。(日本語:こちら 英語:こちら)

図9および図10では、数値そのものは正しいにもかかわらず、翻訳ツールが同じ数値を4〜8回繰り返して出力している例が確認できます。数値が正確でも、このような繰り返しは誤りであり、文書全体の信頼性に影響を与える可能性があります。数値の出力は、必ず細かく確認するようにしましょう

図11および図12では、さらに重大な誤訳が見られます。「¥」が「$20」と訳されていたり、「万人」が「million people(100万人)」と誤って訳出されています。

これらの誤りは、単体で見ればすぐに気づくレベルですが、長文の財務資料の中に埋もれていると見落とされる可能性があります。特に、英語部分だけを文法や表現の自然さの観点からチェックしている場合は、数値や単位の誤りに気づきにくくなります。

図13は、単純な日付に対する不可解な翻訳の例です。
「20239Month」という表記からは、翻訳ツールが日本語の日付を構成要素ごとに個別に処理し、それをスペースなしで結合してしまったことがうかがえます。

この翻訳は、「month」の使い方も不自然であるうえ、英語として必要なスペースが完全に欠落しており、通常の英文書式とは大きく異なる非標準的な出力となっています。

ポイント3:明らかに不適切な単語の誤訳に注意する

図14および図15では、「お得(otoku)」が「オタク(otaku)」に、そして「共食」が「cannibalism(カニバリズム)」に誤訳されています。
この2つの例については、あえて説明するまでもなく、完全に誤っており、場合によっては非常に不適切な表現となり得ます。こうした誤訳が含まれてしまうと、文書全体の信頼性に関わる問題となる可能性があります。

これらの誤訳は、生成AIが不正確、または確認不足の公開翻訳データを学習してしまった結果である可能性があります。質の低い出力がそのまま再利用され、AIの訓練データに取り込まれていくことで、こうした誤りが以前よりも頻繁に見られるようになってきています。

図16では、多くのIR資料に共通して登場する用語「中期経営計画」が、「Midterm Corporate Strategy」と訳されています。
「中期経営計画」の標準的な英訳は 「medium-term management plan」 です。

まず第一に、「midterm」は複合形容詞として使う場合、ハイフンを入れて“mid-term”と表記すべきです。

そして、より重要なのは、この“Midterm Corporate Strategy”という表現が、特定企業が独自に使用している公式名称である可能性が高いという点です。
つまり、翻訳ツールがこの訳語を過去の公開情報から“学習”した可能性があるということになります。

OWLがこれまでに生成AIや機械翻訳を使用してきた中で、「中期経営計画」がデフォルトで“Midterm Corporate Strategy”と訳されたケースはこれまで一度もありません。
これは、生成AIが般的な定訳ではなく、企業固有の表現や公開資料上の訳語を取り込んで出力に反映させていることを示す例かもしれません。

このように、非標準の訳語が公開されたまま訂正されない場合、それがAIの学習データに取り込まれ、“正しい訳”として出力されてしまう可能性があります。
これはいわゆる「Garbage in, garbage out(質の低い入力からは質の低い出力しか得られない)」という典型的な問題であり、AIが不適切な入力を学習すればするほど、今後さらに誤訳が増えていくリスクがあることを意味しています。

→「中期」を“mid-term”と訳すのが不適切な理由は、当社ブログでご紹介しています。(こちら)

ポイント4:スペースの抜け漏れに注意する

図13では、日付の中でスペースが抜け落ちる例をご紹介しましたが、図17および図18では、文全体におけるスペースの抜けが見られます。
図17の例では、「price」と「and」の間にスペースがなく、図18では、数値(86)と単位(billion)の間のスペースが欠落しています。

一見すると小さなミスに見えるかもしれませんが、読みやすさに影響を与えるだけでなく、正式な文書としての印象を損ねる可能性があります。

また補足として、使用するスタイルガイドや文脈によって異なる場合はありますが、英語では10未満の数字は本文中ではスペルアウト(単語で表記)されるのが一般的です。
さらに、「3-year total」のようなハイフンでつながれた形容詞句は、通常「three-year」のようにスペルアウトして表記するのが適切とされています。

なぜこうした問題が起きるのか?

こうした翻訳品質のばらつきには、2つの要因があると私たちは考えています。
第一に、生成AIが過去に自ら出力した質の低い翻訳結果を、ユーザーが確認せずにそのまま受け入れたことにより、それを「正しい」と学習してしまっている可能性があります。
第二に、生成AIが公開されている翻訳例、いわゆる「野良翻訳」から学習すればするほど、質の低い翻訳(いわゆる“ガベージ”)が、正しい用例として取り込まれてしまうリスクが高まると考えられます。

このような傾向は、データ品質の専門家が警鐘を鳴らしている現象とも一致しています。Melissa社のスペシャルプロジェクト担当シニアディレクター、Robert Stanley氏は、2025年6月2日付のSD Timesの記事の中で次のように述べています。

「AIモデルを質の低いデータで訓練すれば、当然のように悪い結果を得ることになります。」


また、Stanley氏は、「データが正確で、完全で、補足情報がきちんと付加されていなければ、AIの出力結果は信頼できないものになる」とも強調しています。

つまり、「Garbage in, garbage out(質の低い入力からは質の低い出力しか得られない)」という原則は、いまだに強く当てはまるのです。

さらにStanley氏は、LLM(大規模言語モデル)はユーザーを満足させようとする性質があるため、「見た目には正しそうに見えるが、実際には誤りである回答を返すことがある」と警告しています。

[出典:SD Times, “Garbage in, garbage out: The importance of data quality when training AI models”(2025年6月2日)https://sdtimes.com/data/garbage-in-garbage-out-the-importance-of-data-quality-when-training-ai-models]

生成AIや機械翻訳ツールの翻訳品質に関する問題の背景には、学習データの質と出所が関係している可能性もあります。
Nature誌に掲載され、Financial Timesが報じた最近の研究では、過去のAIが生成したコンテンツ(=合成データ)を学習データとして使用した場合、AIモデルが「モデル崩壊(model collapse)」を起こすリスクがあると指摘されています。

こうしたモデルは、訓練を重ねるごとに自分自身の過去の誤りを強化してしまい、ゆがんだ出力や意味不明な出力につながる可能性があります。
翻訳の分野では、これにより不自然、誤訳、あるいは直訳的すぎる表現があたかも標準的な英語のように学習・出力されてしまうことが懸念されます。

[出典:Financial Times “Model collapse: how AI models trained on synthetic data can quickly degrade.”(2024年7月25日) ※Nature誌に掲載された研究に基づく報道 https://www.ft.com/content/ae507468-7f5b-440b-8512-aea81c6bf4a5]

まとめ

翻訳ツールは年々進化していますが、信頼性の面では依然として課題が多く残っています。特に、公開された不正確または一貫性に欠ける翻訳データから“学習”している場合には、そのリスクがさらに高まります。
こうした自己強化的な誤りが蓄積されることで、非標準的、または誤解を招くような訳語が“正しい表現”として定着してしまう恐れがあります。

一見些細な不一致であっても、数値の誤訳や不適切な単語の使用が含まれていれば、それだけで翻訳全体の品質や信頼性が損なわれる可能性があります。
このような時代だからこそ、翻訳結果のリスクを見逃さず、自然で明確かつプロフェッショナルな英語で伝えるための対策がこれまで以上に重要です。

翻訳の品質に不安がある場合や、第三者によるチェックが必要な場合は、OWLのネイティブ翻訳チームがサポートいたします。貴社の英語資料が正確で、投資家に伝わる内容になっているかどうか、ぜひお気軽にご相談ください。

あなたの英訳文と段落は長すぎませんか?

(English blog: Mastering Sentence and Paragraph Length | One World Link)

日本語のビジネス文書を英語に翻訳する際、最もよくある課題の一つが、文や段落の長さの調整です。日本語では、一つの文の中に複数の情報や条件、結論を含めることが一般的であり、文構造も複雑になりがちです。こうしたスタイルは日本語では自然ですが、そのまま英語に直訳してしまうと、読みづらく冗長な印象を与えてしまうことがあります。

特に、投資家向け広報(IR)において効果的な英語を用いるには、簡潔さが重要です。各国の政府が発行する可読性やアクセシビリティに関するガイドラインでも、文の長さやプレーン・イングリッシュ(わかりやすい英語)の使用が推奨されています。短く整理された文や段落は、読み手の関心を引き、理解を助けます。日本語から英語への翻訳では、文と段落の構成を見直すことが、グローバルなステークホルダーにメッセージを正しく届けるうえで不可欠です。

とはいえ、文や段落が短すぎると、内容が浅く感じられる可能性もあります。では、どのようにバランスを取ればよいのでしょうか。まずは、英文ビジネス文書における基本を押さえることから始めましょう。

OWLでは、英語への翻訳時には、1段落あたり34文、1文あたり平均20を目安とした構成を推奨しています。これは、投資家向けおよび企業向けの英文コミュニケーションにおいて、プレーン・イングリッシュ(わかりやすい英語)を採用することに基づいたものです。プレーン・イングリッシュとは、不必要な複雑さを避けた、明確で簡潔な表現のことを指します。読み手が内容を一度で理解できることを目的としており、特に開示資料や報告書など、海外のステークホルダー向けの資料では重要な書き方です。

このような基準は、米国証券取引委員会(SEC)によっても推奨されています。SECは、投資家保護と企業情報開示の透明性確保を目的とする機関であり、難解な金融文書に対する懸念を受けて、1998年に「Plain English Handbook(プレーン・イングリッシュ・ハンドブック)」を発行しました。このハンドブックでは、「可能な限り短い文を使うこと」が推奨されており、簡潔な文章は理解を助け、特に法務・財務文書における誤解のリスクを軽減するとしています。

出典:米国証券取引委員会(SEC『A Plain English Handbook: How to Create Clear SEC Disclosure Documents』(1998年)https://www.sec.gov/pdf/handbook.pdf

文の長さに変化をつけることも忘れずに。
短い文は重要なポイントを端的に伝え、長めの文は背景やニュアンスを補足する役割を果たします。これらをバランスよく組み合わせることで、読みやすくリズムのある文章になります。文章の流れに変化が生まれ、読み手の関心を引きつけると同時に、理解の助けにもなります。

例)

日本語 (一文)

長年にわたり蓄積してきた高度な技術と専門知識を活用するとともに、気候変動や資源不足、人口動態の変化といった社会課題に取り組みながら、イノベーションの促進、グローバルなパートナーシップの拡大、そして急速に変化する市場環境においてレジリエンスを確保するための堅実なガバナンス体制の維持を優先する長期経営ビジョンに沿った取り組みを実施することで、持続可能な成長を達成し、企業価値を向上させることを目指します。

英訳 (一文)

By leveraging our strengths in advanced technology and expertise accumulated over decades, while simultaneously addressing societal challenges such as climate change, resource scarcity, and demographic shifts, we aim to achieve sustainable growth and enhance corporate value by implementing initiatives aligned with our long-term management vision, which prioritizes fostering innovation, expanding global partnerships, and maintaining robust governance structures to ensure resilience in a rapidly evolving market environment. 

調整した英訳 (複数の文)

We leverage decades of expertise and advanced technology while addressing societal challenges including climate change, resource scarcity, and demographic shifts. Guided by our long-term management vision, we prioritize fostering innovation, expanding global partnerships, and maintaining robust governance. These initiatives aim to ensure resilience in a rapidly evolving market while achieving sustainable growth and enhancing corporate value.

Flesch-Kincaid(フレッシュ・キンケイド)可読性スコアとは?なぜ重要なのか?

Flesch-Kincaid Reading Ease スコアは、文章の読みやすさを評価するための強力なツールです。このスコアは、文の長さと語の長さを分析し、どれだけ簡単に内容が理解されるかを判断します。スコアが高いほど、読みやすさが高いことを意味します。

Microsoft WordFlesch-Kincaidスコアを確認する方法

  1. Wordファイルを開きます。
  2. ファイル」タブをクリックし、「オプション」を選択します。
  3. 言語」の項目で、英語の言語パックがインストールされており、校正ツールが有効になっていることを確認します。
  4. 文章校正」タブに移動し、「文書の読みやすさを評価する」にチェックを入れます。
  5. 校閲」タブから「スペルチェック」を実行すると、Flesch-Kincaidスコアが表示されます。

※ご使用のMicrosoft Wordのバージョンによっては、スペルチェックを完了した後に「インサイト(Insights)」を選択して、読みやすさスコアを確認する必要がある場合があります。

Flesch-Kincaidスコアが60〜70の文章は、会話調で読みやすいとされています。しかし、OWLでは、IRコミュニケーションにふさわしい専門性と読みやすさのバランスを保つために、日本語から英語への翻訳においては、Flesch-Kincaidスコア35〜40を推奨しています。このスコア帯であれば、文体に一定の洗練さを保ちながら、読み手にとって親しみやすい英語に仕上げることができます。

なお、英語で一から書く場合には、Flesch-Kincaidスコア50〜60が適しているとされています。

要点まとめ

  • Flesch-Kincaid可読性スコア:IR翻訳におけるプロフェッショナルな読みやすさを確保するには、3540を推奨
  • 平均文長1文あたり20を目安に、読みやすさと情報量のバランスを確保
  • 段落の長さ1段落につき34で、読み手にとって負担の少ない構成に

こうしたガイドラインを取り入れることで、英語開示文書が本来のニュアンスを損なうことなく、海外の投資家にも伝わる内容になります。

実践ガイド:まずはここから始めましょう

IRコミュニケーションの質を高める準備はできていますか?以下のステップから始めてみましょう。

  1. 自分の文章を分析する
     Microsoft WordのFlesch-Kincaidツールを使って、読みやすさスコアを確認しましょう。
  2. バランスを意識して編集する
     長すぎる文は短く分け、逆に短すぎる文はつなげて、読みやすく自然な流れに整えます。
  3. フィードバックを受ける
     英語に詳しい同僚に見てもらう、または英文校正ツールを活用して客観的なチェックを行いましょう。
  4. 改善の記録を取る
     可読性スコアを定期的に記録し、自身の改善状況を数値で把握しましょう。

一緒に、あなたのストーリーを世界へ

OWLは、IR担当チームの皆さまがタイムリーで伝わる英語開示を作成できるようサポートしています。私たちの専門知識により、貴社のストーリーを、正確かつ明確に世界の投資家へ届けることが可能になります。
IRコミュニケーションを次のレベルへと引き上げたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
私たちと一緒に、あなたのストーリーを世界へ伝えましょう。

貴社の英語の報告書は「読み込む人」と「流し読みする人」両方に伝わる内容になっていますか?

(English blog: Do You Create Reports for Both Types of Readers in the West? | One World Link)

英語圏の読者は、一般的に「詳細に読み込む人」と「流し読みする人」の2つのタイプに分けられます。読み込むタイプの読者は、文書全体を丁寧に読み進め、背景や文脈を重視します。一方で、流し読みタイプの読者は、見出しや小見出し、キャプションに目を通しながら、主要なポイントをすばやく把握しようとします。効果的な英文のビジネス文書を作成するためには、どちらの読者にも伝わるように工夫することが重要です。情報がすばやく得られるようにしつつ、内容の深さや説得力を損なわない構成が求められます。

あなたは、読み込むタイプですか?それとも流し読みするタイプですか?

それより重要なのは、自分が作成する文書がこの両方の読者を意識しているかどうかです。

変化の激しい今日の金融市場において、ステークホルダーは限られた時間の中で意思決定を行っています。株主やアナリストは、重要な数値やトレンド、業績のポイントが一目で把握できる報告書を求めています。投資家や機関投資家も、企業の戦略に対する信頼感を左右する情報を、財務資料の中から素早く見つけ出そうとしています。

明確で的確な見出しやキャプションは、読み込む読者にも、流し読みする読者にも効果的です。文書全体の理解を促進し、情報の伝わり方と説得力を大きく向上させます。

なぜ「伝わる」見出しとキャプションが重要なのか

これまでに、決算短信や投資家向けプレゼン資料、統合報告書を流し読みしながら、重要な財務データや経営戦略の要点を探した経験はありませんか?あなたの読み手も、まさに同じように情報を探しています。

次のような見出しを見たとき、どれだけの情報が伝わるでしょうか?

  • グループの取り組み
  • 2024年度の業績
  • 当社のビジョン

おそらく、ほとんど何も伝わらないのではないでしょうか。
こうした見出しでは、読み手の期待に応えることができず、興味を失わせてしまいます。

では、次のような見出しではどうでしょうか?

  • グループの重点施策
  • 2024年の収益成長
  • 持続可能な成長に向けた当社のビジョン

若干の情報が加わっていますが、それでもまだ抽象的です。
次の例をご覧ください。

  • カーボン排出削減に向けたグループの重点施策
  • 2024年の収益が20%成長
  • 再生可能エネルギー投資による持続的成長の実現

これらの見出しは、読み手の関心を引き、どのような内容が続くのかを明確に伝えています。

この後、さらに分かりやすい例をいくつか紹介します。

あいまいな見出しの例
 - 主要業績
 - 未来への取り組み
 - サステナビリティ活動

伝わる見出しの例
 - 2024年第4四半期の主要業績:純利益5億ドル、前年比12%増を記録
 - 2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組み
 - カーボン排出削減を目的とした太陽光発電設備の導入

見出しに具体的な情報を盛り込むだけで、読者の理解度と関心度が大きく変わります。

これはキャプションにも同じことが言えます。
キャプションは、図表やビジュアルの補足情報としてだけでなく、重要なメッセージを強調し、文脈を与える「速読ポイント」として機能します。


よく練られたキャプションは、投資家やアナリストが重要なポイントをすぐに把握する助けとなり、報告書やプレゼン資料全体の効果を高めます。

以下のキャプション例を見比べてみてください。どちらがより伝わると感じますか?

読みやすさと読者の関心を高めるためには、情報量のある見出しやキャプションを取り入れることが欠かせません。以下に、効果的な見出しとキャプションを作成するための基本的なポイントをご紹介します。

1. 内容を具体的に伝える
見出しは、そのセクションで何が述べられているかを読者に伝える役割を果たします。該当箇所の具体的な内容や数値などを含めることで、読者は必要な情報を素早く見つけやすくなります。
キャプションも同様に、読者の注意を引きつけ、資料への理解度を高める効果があります(出典:savvy-writer.com)。また、検索エンジンにも有効で、SEOとユーザビリティの両面でメリットがあります(出典:Seowind)。

2. キーワードを適切に使用する
見出しにキーワードを自然に組み込むことで、検索エンジンによるインデックスや順位付けに有利になります(savvy-writer.com)。SEO対策の観点からも、戦略的なキーワードの活用は不可欠です(Seowind)。

3. 明確かつ簡潔に表現する
専門用語や複雑な表現は避けましょう(出典:scribbr)。読み手が内容を瞬時に理解できるよう、明快で簡潔な言葉を使うことが大切です。

4. 目的や読者に合わせて構成する
報告書や提案資料など、文書の目的や読み手の立場に応じて、見出しの構成や表現を調整しましょう。たとえば、審査基準に沿った提案書であれば、それに対応した見出しを用いることで、読み手の理解と評価を助けます。

見出しやキャプションを確定する前に、次の点を確認してみてください:

  • この見出し(キャプション)は、内容を明確に伝えているか?
  • 流し読みする読者でも、要点を把握できるか?
  • この見出し(キャプション)は、全体のメッセージに価値を加えているか?

クイズに挑戦!

次のうち、最も情報量のある見出しはどれでしょう?理由も考えてみてください。

A)サステナビリティへの取り組み
B)FY2025 年度のカーボン排出量を33%削減する目標
C)サステナビリティへの取り組みの詳細
D)FY2025 年度の排出削減目標

次に、もっとも情報が伝わるキャプションはどれでしょう?その理由も考えてみてください。

A)拡張された工場の空撮
B)大阪の新製造拠点での開所初日の様子
C)4月の施設案内
D)エンジニアの会議風景

両方の設問で「B」を選んだ方、正解です!

「FY2025 年度のカーボン排出量を33%削減する目標」は、具体的な数値と年度を明記しており、内容が一目で伝わる見出しになっています。

「大阪の新製造拠点での開所初日の様子」は、写真の内容を明確かつ魅力的に伝えるキャプションであり、読み手に文脈を提供します。

最後に

明確で情報量のある見出しやキャプションは、単なるデザインの要素ではありません。効果的なコミュニケーションを実現するための基本要素です。データを提示する時も、ビジョンを伝える時も、報告書を作成する時も、見出しがストーリーを導き、読み手を引き込む力となります。