読み手のステークホルダーを混乱させないライティングスタイルの一貫性とは?

(English blog: Do You Confuse Stakeholders With Inconsistent Style? | One World Link)

文章を書いたり、コミュニケーションをとったりする際、意外と気になるのが「スタイル」の一貫性です。例えば、タイトルでどの単語を大文字にするか、日付や数字の書き方、学位の表記(「PhD」か「Ph.D.」か)、さらには「on-site」や「onsite」の使い分けなど、ちょっとした疑問が浮かびませんか?

これらの疑問を解決するためにこそ、「スタイルガイド」が必要なのです。英語での執筆をする際、多くのプロフェッショナルが最初に選ぶのがスタイルガイドです。その理由は、スタイルガイドが一貫性のある洗練されたコミュニケーションを支えているからです。

企業にとって、コミュニケーションの一貫性は非常に重要です。一貫性のない表現やスタイルは、ステークホルダーに混乱を与え、ブランドの信頼性を損なう可能性があります。スタイルガイドがないと、古いルールや曖昧な記憶に頼ってしまい、プロフェッショナルな文章にはそぐわないことがあるのです。そして、矛盾や非効率、ミスコミュニケーションにつながる可能性があり、企業にとって大きな損失となりかねません。

特に翻訳業務では、スタイルガイドの役割が一層重要になります。翻訳者が貴社のスタイルガイドを理解し、それを遵守することができて初めて、一貫したブランドのメッセージが世界中で伝わります。適切にスタイルガイドが活用されていれば、社内外で行われるすべてのコミュニケーションが、企業の基準に沿ったものとなり、プロフェッショナリズムが保たれます。

推測に頼ることなく、コミュニケーションの質を向上させるためには、スタイルガイドを選び、それを実践することが大切です。スタイルガイドがあれば、文章の一貫性を保ちながら、ブランドの信頼性を確立することができます。まだスタイルガイドを導入していない方は、ぜひ今すぐに検討してみてください。きっと、あなたのコミュニケーションがさらに洗練され、効果的になるはずです。

スタイルガイドとは?

―あなたの文章を一貫性のあるプロフェッショナルにするための必須ツール―

スタイルガイドをご存じですか?スタイルガイドとは、文書の執筆やフォーマットを標準化するためのルールと推奨事項がまとめられたガイドラインのことです。これを使うことで、文法や句読点、トーン、フォーマット、さらには引用スタイルに至るまで、文章全体の一貫性を保つことができ、プロフェッショナルな印象を与えることができます。

業界によって求められるスタイルガイドは異なり、それぞれのコミュニケーションニーズに合わせて選ばれます。例えば、ジャーナリストは、APスタイルを使って簡潔で分かりやすい報道を行い、学術分野では、シカゴ・マニュアルやAPAスタイルのような、詳細な引用とフォーマットに特化したガイドラインが使用されることが一般的です。スタイルガイドを使用すれば、ライターは読者に伝えたいメッセージをクリアに、そして一貫性を持って表現することができ、ターゲットオーディエンスにしっかりと響くコンテンツを作成することができます。

そこで今回は、英語で最も一般的に使用されているスタイルガイド4つ[K2] をご紹介し、それぞれの特徴を解説します。あなたの文章作成にぴったりのスタイルガイドを見つけて、一貫性のあるプロフェッショナルなコミュニケーションを目指しましょう!

代表的なスタイルガイドの概要

APスタイルブック(AP通信)
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  • 分野: ジャーナリズム、メディア、広報
  • 目的: ニュースやメディアコンテンツに最適な簡潔で中立的な執筆ガイドラインを提供
  • 主な特徴:
    • 見出しはタイトルケースを使用
    • オックスフォード・カンマ(例えば「red, white, and blue」)を避ける
    • 数字1-9はスペルアウト(例:one, two, three)

シカゴ・マニュアル・オブ・スタイル
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  • 分野: 学術、出版、書籍執筆
  • 目的: 著者、編集者、出版社向けの包括的なガイド。引用方法や原稿のフォーマットなど、幅     広いトピックをカバー
  • 主な特徴:
    • 2つの引用システム:人文学向けの「ノートとビブリオグラフィー」、科学分野向けの「著者-日付」
    • オックスフォード・カンマを強調
    • ビブリオグラフィー、索引、原稿準備に関する詳細なルール

MLAハンドブック(モダン・ランゲージ・アソシエーション)
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  • 分野: 人文学、リベラルアーツ
  • 目的: 文学や芸術の学術的執筆のための引用とフォーマットのルールを提供
  • 主な特徴:
    • 本文中の引用と「Works Cited」ページをペアで使用
    • シンプルさと読みやすさを重視
    • 引用や言い換えに関する明確なガイドライン

APAスタイル(アメリカ心理学会)
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  • 分野: 社会科学、心理学、教育、医療
  • 目的: 研究重視の分野における引用とフォーマットを標準化
  • 主な特徴:
    • 著者-日付引用スタイル(例:Smith, 2020)
    • 見出し、要約、表/図に関するルール
    • 精度と科学的な明確さを重視

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《クイック比較》

  • AP: 速くて明瞭。ニュースで使用される。
  • CMS: 詳細で専門的。書籍やエッセイで使用される。
  • MLA: 引用に重点を置く。人文科学で使用される。
  • APA: データ量が多く、研究に重点を置く。科学分野で使用される。

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タイトルケースの違い

スタイルガイドによって、タイトルケースのルールが少しずつ異なります。どの単語を大文字にし、どの単語を小文字にするかを見てみましょう。

スタイルガイド大文字にする単語例外例文
APスタイル・最初と最後の単語
・主要な単語
・4文字以上の単語
・不定詞の「to」
・ハイフンで繋がれた主要単語の2番目の部分
冠詞、接続詞、4文字未満の前置詞は小文字にする(最初や最後以外)Annual Report Highlights Growth Over Key Markets
シカゴ・マニュアル・最初と最後の単語
・主要な単語
・一部の接続詞
・5文字以上の前置詞
冠詞、接続詞、5文字未満の前置詞は小文字にする(最初や最後以外)Annual Report Highlights Growth over Key Markets
MLAスタイル・最初と最後の単語
・主要な単語
・従属接続詞
冠詞、対等接続詞、前置詞は小文字にする(最初や最後以外)Annual Report Highlights Growth over Key Markets
APAスタイル・最初と最後の単語
・主要な単語
・4文字以上の単語
・ハイフンで繋がれた主要単語の2番目の部分
APスタイルと同じAnnual Report Highlights Growth Over Key Markets

※主要な単語には、名詞、代名詞、動詞、形容詞、副詞が含まれます。

タイトルケースのルールについて、さらに詳しくはこちらをご覧ください。

スタイルガイド別の表記の違い

スタイルガイドによって、同じ単語でも表記方法が異なることがあります。例えば、以下のように違いが出ます。

  • APスタイル: We invited three professors, two Ph.D. students, and one research assistant to the seminar.
  • シカゴ・マニュアル / MLAスタイル: We invited three professors, two PhD students, and one research assistant to the seminar.
  • APAスタイル: We invited three professors, two Ph.D. students, and one research assistant to the seminar.

では、OWLはどのスタイルガイドを推奨するのか?

文章作成において最も大切なのは、「一貫性」と「明確さ」です。この2つがしっかりしていないと、どんなに素晴らしい内容でも、読者にうまく伝わりません。そこで、OWLが推奨するスタイルガイドは、APスタイルです。

特に、投資家向けのIR(インベスター・リレーションズ)コミュニケーションには、APスタイルが非常に効果的です。その理由は、APスタイルが掲げる「明確」「簡潔」「プロフェッショナル」といった特徴が、投資家やステークホルダーに必要な情報を分かりやすく、的確に伝えるのに最適だからです。

APスタイルを使うと、複雑な財務データや四半期報告など、難しい内容もより理解しやすくなります。そして、何よりもAPスタイルは、幅広いオーディエンスに対してアクセスしやすいメッセージを届けるため、投資家はもちろん、一般の株主やビジネス関係者にも届きやすいのです。

このように、APスタイルはそのシンプルで明確な構造が、特にIR資料にピッタリです。投資家とのコミュニケーションをより効果的にするために、このスタイルを採用することをおすすめします。

適切なスタイルガイドを選ぶために

文章をさらに引き締め、プロフェッショナルな仕上がりにしたいなら、最初に考えるべきは「自分の業界」と「ターゲットオーディエンス」、そして「作成するコンテンツの種類」です。ニュース記事、研究論文、技術マニュアルなど、コンテンツの種類に応じて最適なスタイルガイドを選ぶことで、文章に一貫性を持たせ、ターゲットに合わせた内容に仕上げることができます。

スタイルガイドを選ぶ際には、そのガイドが自社の目標にどれだけ柔軟に対応できるか、そしてどのように自分たちの目的に合致するかを考えましょう。また、スタイルガイドのルールをチーム全員が把握し、統一感を持って作業を進められるようにすることも大切です。これにより、プロフェッショナルで一貫したコミュニケーションが実現します。

どんなコンテンツを作成するにしても、スタイルガイドをしっかり選ぶことで、より良い文章が生まれ、伝えたいメッセージがより効果的に伝わります。自分に合ったスタイルガイドを見つけて、文章作成をさらに進化させていきましょう!

もし、スタイルガイドに関するヒントや詳細な説明を探しているなら、Purdue OWLhttps://owl.purdue.edu/owl/index.html)はとても便利なリソースです。APAスタイルやMLAスタイル、シカゴ・マニュアルなどについて、簡単なヒントや詳しい解説が見つかります。

また、より正確で詳細な情報を得るためには、公式のスタイルガイドブックを参照するのがおすすめです。

自分の企業スタイルガイドを作成したい場合は、Mail Chimpが提供しているオープンソースのカスタマイズ可能なガイドが役立ちます!
Mail Chimpスタイルガイド

そして、スタイルガイドの作成に役立つ無料テンプレートも紹介されているこの記事もおすすめです。
最適なスタイルガイド50選(無料テンプレート付き)

【ご注意】

Grammarlyやほかの自動修正ツール、AIツールを使うときは、注意が必要です。これらのツールは、一般的な文章作成には便利ですが、選んだスタイルガイドに合わない修正を提案することがあります。特に、企業が採用しているスタイルガイドの具体的なルールと矛盾する可能性があります。そのため、ツールに頼りすぎず、自社のスタイルガイドに従うことが大切です。

一貫性とプロフェッショナリズムを保つためには、スタイルガイドのガイドラインを理解し、それに沿った執筆を行うことが不可欠です。自動修正ツールはあくまで補助的なツールとして活用し、最終的なチェックはスタイルガイドに基づいて行うようにしましょう。


絶対に知っておくべき英文ライティングの常識7つ

言葉も時代とともに変化する。生きた言葉で伝えることの大切さ

グローバルビジネスに関わる皆さまは、英文を書いたり、チェックしたりする機会がある方も多いのではないでしょうか。
基本的な英文法は大丈夫!と自信のある方も、実は学校や英会話教室で勉強したことが、今の常識では間違っているなんていうことがあるかもしれません。

英語ネイティブ向けの英語サイトで、文法においてよくある誤解に関する記事がHubspotに投稿されていました。
英文ネイティブに向けて書かれている英文ライティング手法ですから、私たち日本人にとっては、少しつっこんだ内容になっています。
グローバルビジネスに関わり、英語に携わっている方々においては、知っていて損はない情報ですので、日本語でご介させていただきますね。

1.文の終わりに前置詞を使ってもいい

前置詞を文の最後に使用してはいけないと、習った記憶がある人も多いのではないでしょうか?
実は、前置詞を文の終わりに使うのは、正しい文法。

「Which building is he in?」
「Bob has a lot to be happy about.」

カジュアルなメールだけでなく、フォーマルな文書でも大丈夫です。

たとえば、

「Bob has a lot to be happy about」
「Bob has a lot about which to be happy.」

どちらも文法上は正しいです。そんな時、何を基準に選んだらいいのか?
最初の文は、前置詞を最後においていますが、単純な文章で理解しやすいですよね。
2つ目の文章は冗長的でなんだか堅苦しく聞こえます。

判断に迷ったら前置詞の場所ではなく、文のわかりやすさで選んでください。

2.不定詞と動詞の間に他の単語をいれてもいい

プレインイングリッシュでは、「to walk」や「to see」などの、不定詞と動詞はなるべく近くに置く、という原則があります。
しかし、文法的には他の単語を間に入れても誤りではありません。

“to automatically update an account.”

こちらの例文でも問題なく使用できます。
ただ、動詞の目的語が離れることで文章の意味がわかりづらくなってしまう場合や、不自然になる場合は、止めた方がよいでしょう。
また、あまりたくさんの単語を挿入することは動詞の目的が不明確になってしまうため避けたいところです。

3. 「i.e.」と「e.g.」の意味は違う

「i.e.」と「e.g.」の意味が違うことはなんとなく知っていても、具体的にどのように違うのかと質問される「はて?」となってしまう人も多いのではないでしょうか?
実は、全く違う意味ですので、気をつけてください。

「i.e.」は、「つまり」「言い換えると」といった意味になります。
「e.g.」 は「例としてあげると」「たとえば」といった意味になります。

次にこのような表現を見かけたときは、注意してみてくださいね。

4. “–” と “—” の意味は基本的に同じ

“–” はen ダッシュ、 “—” はemダッシュと呼ばれます。
一文を分割したり、説明的な表現を挿入したりする際は、どちらのダッシュも使用できます。

ただ、それぞれ独特の使い方もあります。
「–」は、期間を表したり(例:that will take 5–10 minutes)、異なるものを併記したりする(例:we crossed the Spanish-French border)ときに使用します。

「—」は、引用を示す際に使用します。(例:’To be or not to be, that is the question.’ —Shakespeare”)

5.子音が始まる単語の前にはAをつけて、母音で始まる単語の前にはanをつけるわけではない

ほとんどの場合は、子音が始まる単語の前にはAをつけて、母音で始まる単語の前にはanをつけることで問題ないのですが、正しくは、子音の音で始まる単語の前にはaをつけ、母音の音で始まる単語の前にanをつけます。

つまり、「I have an RSS feed」 が正しくて、「I have a RSS feed.」は間違えていることになります(アールエスエスのアが母音発音のため。) どちらが正しいのか疑問に思ったら、口に出して発音してみるといいですね。

6. Andやbut、 orで文を始めてもいい

Andやbut、 orで文章を始めてはいけない!と学校で習ったことを覚えている人も多いのではないでしょうか?
しかし、現代の作家やライターは、特に気にすることなくAndやbut、 orで文を始めています。

結局はスタイルの好みとなります。使用した方がわかりやすい場合は使用しましょう。
どっちでも同じ、あるいは無い方が読みやすいと考えられる場合は使用しないという考え方をすればいいでしょう。

生きた言葉で、伝える

言葉は生き物。

もちろん基本はそう変わるものではありませんが、時代と共に変化する部分も多くあります。
また、何が「一般的」かという基準も、時代と共に変わります。
日本語も同様ですが、文章や話し言葉には流行りすたりがあります。

iinettoでは、変化し続ける海外のトレンドをタイムリーに発信していきます。
皆さまに海外で勝てる!コミュニケーションの必勝法をお伝えしていきます。

海外コミュニケーションでお困りの方、いつでもお気軽にご相談ください。

参考サイト:
Hubspot
http://blog.hubspot.com/marketing/grammar-myths

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