先日中期経営計画の英訳について、日本企業の多くは、2パターンの英訳を使われていることについてお話いたしました。1つはmid-term management plan、もう一つはmedium-term management planとなりますが、mid-term management planは間違いであるということをお伝えしました。
今日は正しい翻訳、Medium-term management plan について、さらに深くお話ができたらと思います。
この用語は正しい翻訳であり、また、多数の日本企業様が何年も使っている英語です。弊社のクライアント様におきましても同様です。
しかし、英語のネイティブの目線から、そして、グローバルの視点で英文のコミュニケーションサービスを提供する我々の立場からしますと、この用語は少し曖昧な印象を受けるということを
今日はお話させていただければと思っております。少しでもこの観点が皆様のグローバルコミュニケーションにおいて役立つものとなれればうれしいです。
まず、medium-term =日本語でいう中期にあたりますが、中期とは明確な期間でいうと何年という意味でしょうか。
Medium-termとは2年のことでしょうか、それとも3年でしょうか、あるいは5年?
中期経営計画を立て、実施されている企業様側においてはもちろん認識されている数字ではあります。しかし読み手はどうでしょうか。
読み手の目線では、中期とは、2年、或いは3年、もしくは5年とも解釈ができてしまうのです。
このような曖昧な表現はグローバルに発信する英語としては曖昧な用語であり、可能な限り明確な英語で表現するべきではないかと我々は思っております。
次に、経営計画の英訳として使われている”management plan”ですが、”medium-term”のように曖昧な用語ではないものの、実は英語のネイティブからすると英語の使い方として少し不自然です。
”management plan”という英語は、欧米においては一般的に、プロジェクトやリソースにおける「管理」あるいは「実行」に関連した計画等に使用される用語です。
米国企業では経営計画や目標について話をする際、”management plan”ではなく、”business plan”または、”business strategy”という英語を使っています。
弊社の見解としては、”business plan”とするほうが、”management plan”とするよりグローバル英語として、英語での読み手にとって、より明確であり、自然であると思っています。
最後に”medium-term management plan”は”mid-term management plan”と比較すれば、正しい翻訳ではありますが、
海外のステークホルダーに向けて、より明確でクリアなコミュニケーション図ることを目指されているのであれば、
明確に年数を記載することをお勧めしております。
3年間の経営計画であれば、”three-year business plan”と表記することで、より英語の読み手にとってはその意味がクリアになります。
最後に、キャピタライズのルールについてお話させてください。
日本企業の英文IRマテリアルを読んでいると、キャピタライズのルールをわかっておらず、使い方が間違っている内容をよく見かけます。
また、medium-term management planの翻訳をよく英語のネイティブの翻訳者でもキャピタライズしている傾向があります。
キャピタライズを適用するかしないかは、その用語が固有名詞であるかないかで判断します。
Medium-term management plan は固有名詞ではありません。
よって、キャピタライズする必要はありません。
下記に正しい英文と間違った英文の例をご紹介いたします。
Incorrect:
The company’s Medium-Term Management Plan will run from fiscal 2018 to fiscal 2020
Correct:
The company’s medium-term management plan will run from fiscal 2018 to fiscal 2020.
グローバルな目線で貴社の大切なIRにおけるワードチョイスをご検討いただけると嬉しいです。
=====
英語ドラフト版原稿も添付させていただきます。
The phrase is too ambiguous in two ways.
First, what does “medium-term” mean, actually? And, does it mean the same thing to a global business English reader as it does to a Japanese business manager?
Does medium-term mean two years? Three years? Five years? To the creator of the 中期経営計画, the term might be obvious. But, the reader has only a vague idea. I much prefer companies to be specific about the term of their 中期経営計画. Instead of a medium-term plan, why not call it a three-year (or five-year) plan? Be specific, so the global English reader knows exactly what you’re saying.
The second part of 中期経営計画 is term “management plan.” While this phrase is not quite as vague as “medium-term,” the English usage is a bit awkward.
In the United States, a “management plan” is generally used to refer to how a project or resource (e.g. national park) is controlled, monitored, and executed.
US companies use other terms, such as business plan or strategy, when talking about their business plans, goals, and execution. For me, “business plan” is clearer to the global English reader than “management plan.”
To conclude, “medium-term management plan” is the correct translation when compared to “mid-term management plan.” If companies want to communicate more clearly to their global stakeholders, then the term “three-year business plan” would be ideal.
Last, let me answer the question of capitalization. I see translators frequently capitalize medium-term management plan in their writing. Medium-term management plan is not a proper noun, so it is not capitalized.
Incorrect:
The company’s Medium-Term Management Plan will run from fiscal 2018 to fiscal 2020
Correct:
The company’s medium-term management plan will run from fiscal 2018 to fiscal 2020.
We tell your story to the world!!
Mia Omatsuzawa 大松澤実絵
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