「英語のレポートを読んでもらえない・・・」

英語のレポートを日本語のレイアウトのまま、作っていませんか?

英語版のレポートを作成するとき、日本語のレポートをただ翻訳するだけで満足していませんか?グローバルな読者、特に英語を話すステークホルダー向けにレポートを作成する際、単に日本語を翻訳するだけでは不十分です。

実は、英語と日本語では「読みやすいレイアウト」の基準が全く違います。レポートのデザインやレイアウトが、可読性や読者の関心に大きな影響を与えるのです。

「せっかく英語に翻訳したのに、読んでもらえない…」
「内容には自信があるのに、なんだか読みにくいと言われる…」

もしこんな経験があるなら、それはレイアウトが日本語仕様のままになっているせいかもしれません!

日本語と英語ではレポートのスタイルは異なることが多いため、英語の読みやすさを考慮したデザインにすることが重要です。

なぜ、レイアウトが重要なのでしょうか?

翻訳作業に何ヶ月もかけて完成させた英語レポート。それなのに、読んでもらえない、もしくはレイアウトのせいで内容が伝わらないとしたら、どうでしょうか?

レポートの質と同じくらい、適切なレイアウトを選択することが重要です。日本語のレポートは、フォントや表、画像、見出し、行間、スペースなどを日本語向けに最適化して作られます。
では、英語版も同じレイアウトでいいのでしょうか?

多くの企業が、日本語版と全く同じレイアウトを英語版でも使用しようとします。その結果、読みにくく、内容が伝わらない英語レポートになってしまうのです。

例えば、日本語のレポートでは、見出しや小見出し、グラフや図表に、縦書きを使用することがよくあります。しかし、横書きが基本である英語ではそうはいきません。
ネイティブの英語読者は、縦書きや文字を詰め込みすぎたレイアウトに違和感を覚え、読みづらいと感じます。だからこそ、レポートをデザインする際には、日本語版だけでなく、英語版のレポートも作成することを念頭に置くことが重要なのです。

では、日本語仕様のまま翻訳された英語レポートには、どんな問題が起こるのでしょうか?

日本語のレイアウトをそのまま使うと起こる問題点

1. 読みにくい(Poor Readability)
日本語のレポートでは、縦書きのテキストが頻繁に使われます。
しかし、英語は左から右、上から下へ読むのが通常です。縦書きの要素や不自然なスペースがあると、読者は混乱してしまいます。

2. スペースの最適化ができていない(Space Optimization)
日本語では2文字ほどの漢字で表現できる見出しやテキストラベルは、英語に翻訳すると、その2倍以上のスペースが必要になることもあります。
そのため、日本語向けにスペースを最適化している表やグラフが、英語版では文字が詰まりすぎて読みにくくなることがあります。

3. プロフェッショナルに見えない(Professionalism)
英語のデザイン原則に沿って作られたレポートは、洗練された印象を与え、企業の信頼性を高めます。
しかし、日本語のレポートをそのまま英語に翻訳すると、デザインに違和感が生じ、見た目のクオリティが低く見えることがあります。

では、どのようなレイアウトが英語では適しているのでしょうか?

英語レポートを「読みやすくする」ポイント

1. 日本語の文章を作る時点で、英語翻訳を考慮する
日本語では、長い一文や主語があいまいな文章、受動態などがよく使われます。しかし、これらはそのまま英語に翻訳すると、理解しにくくなる原因になります。
翻訳しやすい日本語を書くことも重要です。

2. 横書きを基本にする
縦書きや首を傾けないと読めないような配置は避け、英語の標準である左から右への横書きレイアウトにしましょう。

3. 英語向けのフォントを選ぶ
Arial、Times New Roman、Calibriなど、英語向けのフォントを使用しましょう。
游明朝やMSゴシックのような日本語向けのフォントを使うと、英語の文字のバランスが崩れたり、スペースが不自然になったりします。
これらのフォントを並べて比較してみましょう。以下の画像は、Wikipediaのマイケル・ジャクソンに関する記事の同じ段落を、3つの異なるフォントで表示したものです。
一番左は、英語向けに最適化された一般的なフォントであるArialを使用しています。中央と右端は、同じサイズ・同じ設定のまま、それぞれ游明朝とMSゴシックで表示しています。

游明朝では、改行1つでどれだけスペースを取るかに注目してください。
MSゴシックでは、文字がブロック状に見え、単語間のスペースが広がっているのが分かります。
フォントが占める縦方向・横方向のスペースに注意しましょう!
適切なフォントを選ぶことが大切です。

4. 行間・余白を適切に調整する
行間や余白を広めにとることで、視認性が向上し、見出しや小見出しがより明確になります。

5. グラフや表はシンプルにする
日本語のレポートでは細かいデザインが好まれることもありますが、英語ではシンプルで分かりやすいグラフや表が好まれます。読者を混乱させてしまうような複雑すぎるデザインやラベル、テキストは避けましょう。
デザインが細かすぎると、かえって情報が伝わりにくくなってしまうこともあるのです。

6. 視覚的なメリハリをつける
見出しや小見出しは内容を分かりやすく簡潔に表現して太字にする、箇条書きを活用する、番号付きリストを使うなど、英語の読者がスムーズに情報を読み取ることができるレイアウトを意識しましょう。

(画像引用元:Design Studio UI UX)

上記の画像は、タイポグラフィの階層を分かりやすく示した例です。タイポグラフィの階層は、読者が必要な情報に素早く簡単にアクセスできるように、活字を整理する方法です。タイポグラフィの階層を適切に設定することで、読者が情報をスムーズに理解しやすくなります。
一番左のレイアウトは、階層がなく、文章がすべて同じフォントサイズ・スタイルで書かれており、どこが重要なのかが分かりにくいです。見出し、小見出し、本文という3つの階層で構成し、文字の大きさを変える、太字にする、斜体にするなど、レイアウトに工夫を加えていくことにより、右にいくほど読みやすくなっていることが分かります。

7. モバイルでの閲覧にも対応したデザインにする
多くのステークホルダーは、スマートフォンやタブレットでもレポートを確認します。
そのため、小さい画面でも読みやすいレイアウトを意識することが大切です。

英語レポートのレイアウトを工夫する価値はあるのでしょうか?

英語レポートのレイアウトを工夫する価値、それは間違いなくあります!
レポートのデザインを英語向けに最適化することは、単なる「手間」ではなく「投資」です。
しっかりとレイアウトを調整すれば、「せっかく翻訳したのに読まれない…」という事態を防ぎ、グローバルな読者にメッセージをしっかり届けることができます!
英語レポートを作る際は、翻訳だけでなく、レイアウトにもこだわってみましょう!



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Mia Omatsuzawa 大松澤実絵

Chief Executive Officer (CEO)One World Link Inc.
英語のコミュニケーションにお悩みの方、私にご相談ください。真のコミュニケーションを、心と心のコミュニケーションの実現をご提供いたします。 担当記事:主に英語のコミュニケーション、ライティングについての記事を担当。また、価値あるグローバルな情報をいち早く日本語で皆様にお届けいたします。      mia@oneworldlink.jp  Facebook(Mia Omatsuzawa) 

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