日本人はあいまいさを愛し、欧米人は明確さを求める
翻訳をする中で最も難しいのは、あいまいな日本語を翻訳する場合と英語特有の言い回しを日本語に翻訳する場合です。
あいまいな日本語の一例
1. ぼかし
「あの件については、あれでいいですね?」
「ああ、そのように取り計らってくれ」
「~と 思われます」
「~と考えられます」
「~と言ってもいいでしょう」
「~ではないかと思います」
などの「あれ」とか「これ」といった「こそあど」言葉を使う表現。語尾をにごす表現。はっきりとした断定を避ける表現。
2. なぞらえ
自分の意見を第三者(それも権威ある人物など)や書物などの存在を借りて間接的に表現しようとする方法。
日本語では、責任回避の心理が大きく働いているのに対して、英語では、自説をより強調するために使われるのが大きな違いです。また、「前例がない」というときの「前例」もこの「なぞらえ」の心理が働いていると考えることができます。
3. うちけし
「やはり」
「いちおう」
「~じゃないが」
「いやいや、そんなことはありません」
など、いったん述べた自分の意見をいちおう「否定(打ち消し)」しておくという心理に基づいた表現。
引用元:http://www.rondely.com/tuben/JpnEng2.htm
これに反して、欧米圏ではこういった曖昧さや不明瞭の許容範囲は狭く、「率直で効果的な」コミュニケーションが求められます。
日本企業の決算短信の定性情報の文章においても、あいまいな部分が多く、海外投資家に向けるとき、もちろんケースバイケースではありますが、日本語の原文に忠実に、あいまいな文章のまま翻訳して良いのだろうかと思うこともあります。
「あいまいさ」は我々日本人の大切な文化なのですから、これからも大切にしたいと思っています。
ただ、グローバルに展開することをお考えなのであれば、スピーチも資料も全てが多言語化することを想定してPlain Japaneseでライティングすることをお薦めいたします。あるいは、グローバル仕様にライティングも調整していくと良いかと思います。
Plain Japaneseとは?
次回からはPlain Japaneseに触れながら、どういった日本語を英訳することに苦労したか、具体的な例文を挙げてご紹介いたします。
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Mia Omatsuzawa 大松澤実絵
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