ピクサー社が映画「インサイドヘッド」を世界のヒット作に導いた翻訳テクニック

本当の翻訳とはローカライズ(現地化)するということ

少し前に公開された映画「インサイドヘッド」はご覧になられましたか?

「インサイドヘッド」は、2015年7月に日本で公開されたピクサー社制作のコンピューターアニメーション3D映画です。
この映画を世界のヒット作へと導いた「さすが!」な翻訳テクニックをBusiness Insider(英語記事)のブログ記事で紹介されていましたので、日本語版でお届けします。

 

アメリカと日本では、子供の嫌いな食べ物の定番が違う!

「インサイドヘッド」のとあるシーンで、父が、娘のライリーに大嫌いなブロッコリーを食べさせるのに一苦労するシーンがあります。アメリカでは、大体の幼児がブロッコリーが嫌いなんですね。

実はこのシーン、日本語版では ブロッコリーはピーマンに差し替えられています。

inside-out-broccoliDisney/Pixar

日本では、ブロッコリーよりピーマンが子供の嫌いなものの定番ですよね。

ピクサー社は、海外版を制作するにあたり、日本の視聴者にも同じニュアンスを感じてもらうためにこのシーンの映像とセリフを差し替えました。

ディレクターのピーター・ドクター氏はこう解説しています。
『ただ単に翻訳しただけでは海外では意味を成さないシーンがあることに気付いたんだ。
例えば、日本のキッズ達にとって、ブロッコリーは嫌いなものにはいらいない。
何が嫌いか聞いたら、ピーマンと答えたので、三つのこのシーンをブロッコリーからピーマンに作りかえたんだ。』

作り替えられたシーンは、これだけではありません。

 

国によってメジャーなスポーツも違う

夕飯の場面で、ライリーの父は、頭の中でホッケーの試合を回想しています。

hockeyDisney/Pixar

しかし、海外版ではいくつかのシーンがサッカーに入れ替わっています。

INSIDE OUTDisney/Pixar

『サッカーがメジャーな国が多いので、ホッケーの代わりにサッカーバージョンを制作した』と、ドクターは解説しています。
登場人物はミネソタ出身なので、メジャースポーツといえばホッケーなのです。しかし、日本ではホッケーはメジャーなスポーツではありません。もしこの回想シーンがホッケーであったら日本の視聴者へのニュアンスは異なるものになっていたでしょう。

 

手サインに至るまでの抜け目ないローカライズ

ライリーの想像上の幼馴染にビンボンという登場人物がいます。
ビンボンがジョイとサッドネスにサインを読む場面で、ビンボンが「近道だ」と言いながら、『D−A−N−G−E−R』の文字を指すシーンがあります。ここでは、セリフを翻訳するだけでなく、ピンポンの手サインを言語に合わせて右から左に指すように再作成されました。

こういったローカライズへの入念な取り組みは、ピクサー社の映画の素晴らしさを説明する多くの側面のうちのひとつといえます。ピクサー社は、視聴者の共感を得るテクニックを熟知していますね。

 

他の名作でもこんなローカライズ技術

マーベル社制作の映画でも、同じようなマイナーチェンジが実施されています。
「アイアンマン3」の中国版では、いくつか付け加えられているシーンがあります。
「キャプテン ・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」では、ステイーブン・ロジャーがToDoリストを眺めているシーンに違うバージョンが存在します。

世界でヒットする映画には理由があるということですね。

「インサイドヘッド」は現在上映中。
世界で5億5千3百万ドルの売上を上回る超大作となった理由には、これらの卓越したローカライズ技術が隠されているのです。

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ただ言葉を置き換える翻訳では、重要なメッセージが伝わらないことが多くあります。

Business Insiderの英語記事内でもLocalize(ローカライズ)という単語が使われていますが、言語を展開する国の言葉に翻訳するということは、現地の人に同じニュアンスを伝わるよう置き換えるという意味が含まれています。(ローカライズ=現地化する)

本当の意味の翻訳とは、ただ単純に言葉を置き換えるだけではなく、現地の文化や背景、流行などさまざまな側面を理解し翻訳することが欠かせません。
それがビジネス文書でも同様です。会社案内、プレゼン資料、ウェブ用の動画などすべてに共通して言えることです。

是非、ピクサー社のローカライズをモデルに、海外で勝てる!翻訳を実践してみましょう。
ローカライズならiinetto!にお任せください。翻訳言語の文化や背景を理解したネイティブスタッフが翻訳を担当いたします。いつでもお気軽にinfo@iinetto.comまでご相談ください。
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Mia Omatsuzawa 大松澤実絵

Chief Executive Officer (CEO)One World Link Inc.
英語のコミュニケーションにお悩みの方、私にご相談ください。真のコミュニケーションを、心と心のコミュニケーションの実現をご提供いたします。 担当記事:主に英語のコミュニケーション、ライティングについての記事を担当。また、価値あるグローバルな情報をいち早く日本語で皆様にお届けいたします。      mia@oneworldlink.jp  Facebook(Mia Omatsuzawa) 

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