貴社の英語の報告書は「読み込む人」と「流し読みする人」両方に伝わる内容になっていますか?

英語圏の読者は、一般的に「詳細に読み込む人」と「流し読みする人」の2つのタイプに分けられます。読み込むタイプの読者は、文書全体を丁寧に読み進め、背景や文脈を重視します。一方で、流し読みタイプの読者は、見出しや小見出し、キャプションに目を通しながら、主要なポイントをすばやく把握しようとします。効果的な英文のビジネス文書を作成するためには、どちらの読者にも伝わるように工夫することが重要です。情報がすばやく得られるようにしつつ、内容の深さや説得力を損なわない構成が求められます。

あなたは、読み込むタイプですか?それとも流し読みするタイプですか?

それより重要なのは、自分が作成する文書がこの両方の読者を意識しているかどうかです。

変化の激しい今日の金融市場において、ステークホルダーは限られた時間の中で意思決定を行っています。株主やアナリストは、重要な数値やトレンド、業績のポイントが一目で把握できる報告書を求めています。投資家や機関投資家も、企業の戦略に対する信頼感を左右する情報を、財務資料の中から素早く見つけ出そうとしています。

明確で的確な見出しやキャプションは、読み込む読者にも、流し読みする読者にも効果的です。文書全体の理解を促進し、情報の伝わり方と説得力を大きく向上させます。

なぜ「伝わる」見出しとキャプションが重要なのか

これまでに、決算短信や投資家向けプレゼン資料、統合報告書を流し読みしながら、重要な財務データや経営戦略の要点を探した経験はありませんか?あなたの読み手も、まさに同じように情報を探しています。

次のような見出しを見たとき、どれだけの情報が伝わるでしょうか?

  • グループの取り組み
  • 2024年度の業績
  • 当社のビジョン

おそらく、ほとんど何も伝わらないのではないでしょうか。
こうした見出しでは、読み手の期待に応えることができず、興味を失わせてしまいます。

では、次のような見出しではどうでしょうか?

  • グループの重点施策
  • 2024年の収益成長
  • 持続可能な成長に向けた当社のビジョン

若干の情報が加わっていますが、それでもまだ抽象的です。
次の例をご覧ください。

  • カーボン排出削減に向けたグループの重点施策
  • 2024年の収益が20%成長
  • 再生可能エネルギー投資による持続的成長の実現

これらの見出しは、読み手の関心を引き、どのような内容が続くのかを明確に伝えています。

この後、さらに分かりやすい例をいくつか紹介します。

あいまいな見出しの例
 - 主要業績
 - 未来への取り組み
 - サステナビリティ活動

伝わる見出しの例
 - 2024年第4四半期の主要業績:純利益5億ドル、前年比12%増を記録
 - 2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組み
 - カーボン排出削減を目的とした太陽光発電設備の導入

見出しに具体的な情報を盛り込むだけで、読者の理解度と関心度が大きく変わります。

これはキャプションにも同じことが言えます。
キャプションは、図表やビジュアルの補足情報としてだけでなく、重要なメッセージを強調し、文脈を与える「速読ポイント」として機能します。


よく練られたキャプションは、投資家やアナリストが重要なポイントをすぐに把握する助けとなり、報告書やプレゼン資料全体の効果を高めます。

以下のキャプション例を見比べてみてください。どちらがより伝わると感じますか?

読みやすさと読者の関心を高めるためには、情報量のある見出しやキャプションを取り入れることが欠かせません。以下に、効果的な見出しとキャプションを作成するための基本的なポイントをご紹介します。

1. 内容を具体的に伝える
見出しは、そのセクションで何が述べられているかを読者に伝える役割を果たします。該当箇所の具体的な内容や数値などを含めることで、読者は必要な情報を素早く見つけやすくなります。
キャプションも同様に、読者の注意を引きつけ、資料への理解度を高める効果があります(出典:savvy-writer.com)。また、検索エンジンにも有効で、SEOとユーザビリティの両面でメリットがあります(出典:Seowind)。

2. キーワードを適切に使用する
見出しにキーワードを自然に組み込むことで、検索エンジンによるインデックスや順位付けに有利になります(savvy-writer.com)。SEO対策の観点からも、戦略的なキーワードの活用は不可欠です(Seowind)。

3. 明確かつ簡潔に表現する
専門用語や複雑な表現は避けましょう(出典:scribbr)。読み手が内容を瞬時に理解できるよう、明快で簡潔な言葉を使うことが大切です。

4. 目的や読者に合わせて構成する
報告書や提案資料など、文書の目的や読み手の立場に応じて、見出しの構成や表現を調整しましょう。たとえば、審査基準に沿った提案書であれば、それに対応した見出しを用いることで、読み手の理解と評価を助けます。

見出しやキャプションを確定する前に、次の点を確認してみてください:

  • この見出し(キャプション)は、内容を明確に伝えているか?
  • 流し読みする読者でも、要点を把握できるか?
  • この見出し(キャプション)は、全体のメッセージに価値を加えているか?

クイズに挑戦!

次のうち、最も情報量のある見出しはどれでしょう?理由も考えてみてください。

A)サステナビリティへの取り組み
B)FY2025 年度のカーボン排出量を33%削減する目標
C)サステナビリティへの取り組みの詳細
D)FY2025 年度の排出削減目標

次に、もっとも情報が伝わるキャプションはどれでしょう?その理由も考えてみてください。

A)拡張された工場の空撮
B)大阪の新製造拠点での開所初日の様子
C)4月の施設案内
D)エンジニアの会議風景

両方の設問で「B」を選んだ方、正解です!

「FY2025 年度のカーボン排出量を33%削減する目標」は、具体的な数値と年度を明記しており、内容が一目で伝わる見出しになっています。

「大阪の新製造拠点での開所初日の様子」は、写真の内容を明確かつ魅力的に伝えるキャプションであり、読み手に文脈を提供します。

最後に

明確で情報量のある見出しやキャプションは、単なるデザインの要素ではありません。効果的なコミュニケーションを実現するための基本要素です。データを提示する時も、ビジョンを伝える時も、報告書を作成する時も、見出しがストーリーを導き、読み手を引き込む力となります。


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Jessica Azumaya

Writer/EditorOne World Link, Inc.
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