何をもってPlain Englishなのか。英語圏のネイティブでない方のために、数値でご納得いただくツールの詳細を解説いたします。
先日Plain Englishかどうかを確認する一つのツールとして「The Readability Test Tool (http://read-able.com/)」をご紹介しましたが、ツールに表記される各指標について解説いたします。
一般的に使用される3種類(下記結果の赤枠内)の指標にフォーカスしてご説明します。
いずれも、1センテンスあたりの平均単語数と1単語あたりの平均音節を元に算出しています。
指標ごとに、理想とされる数値設定(高いほうがよい、低い方がよい)があります。
オバマ大統領のスピーチの一文を計測した結果をサンプルとします。
Time and again these men and women struggled and sacrificed and worked till their hands were raw so that we might live a better life. They saw America as bigger than the sum of our individual ambitions; greater than all the differences of birth or wealth or faction.
(引用元:http://obamaspeeches.com/)
■Flesch Kincaid Reading Ease とは
この指標は数値が高ければ高いほど読みやすい、平易な文章と判断され、Plain Englishとされます。
計算式 206.835 – 1.015×(1センテンスあたりの平均単語数)- 84.6×(1単語あたりの平均音節数)
90~100点 11歳の学力レベルで理解できる文章
60点~70点 13歳から15歳の学力レベルで理解できる文章
0点~30点 大学卒業レベルで理解できる文章
引用元:http://en.wikipedia.org/wiki/Flesch%E2%80%93Kincaid_readability_tests
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■Flesch Kincaid Grade Level とは
どのレベルの教育課程であれば理解できるかをアメリカのスクール・グレード(学年)を目安に算出する指標です。学校の先生や図書員が一般的な本や、学校教材などを選ぶ際に使用されます。
計算式 0.39×(1センテンスあたりの平均単語数)+ 11.8×(1単語あたりの平均音節数)-15.59
スクール・グレードと年齢の対比は下記の一覧にてご確認ください。
青枠と黄色が重なる箇所がPlain Englishである理想的なグレードとなります。
引用元:
http://en.wikipedia.org/wiki/Flesch-Kincaid_readability_test
http://en.wikipedia.org/wiki/Education_in_the_United_States#School_grades
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Gunning Fog Score(ガミング・フォグ・スコア) とは
この指標は数値が小さいほど、理解しやすい英文とされます。ただし、3音節以上の単語でも、平易なものもあるため、正確性は限定されます。例えば、専門的な科学系の雑誌や論文などでは、大学で学ぶ専門用語が多く含まれるため、本指標は目安になりません。
計算式 0.4×(1センテンスあたりの平均単語数+ 3音節以上の単語の割合)
引用元:http://en.wikipedia.org/wiki/Gunning-Fog_Index
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以上、3つの指標をご説明させていただきました。
弊社ではFlesch Kincaid Reading Easeを主に指標として使用していますが、具体的にPlain Englishで公表されている英文がどんなものかご紹介します。
例1:
Wall Street Journalの記事:50点~70点
Flesch Kincaid Grade Levelでは8~11=13~17歳の学力レベルでも理解できる文章
http://quotes.wsj.com/ENG
経済紙のため、17歳レベルまでの学力レベルが必要とされる文章も含まれます。
ここで日本の新聞と比較してみると、日本経済新聞を読みやすいと感じる高校生はあまりいませんから、WSJは非常に読みやすくライティングされていることがわかります。
例2:
オバマ大統領のスピーチ:60点~70点
Flesch Kincaid Grade Level では8前後=13~14歳の学力レベルで理解できる文章
http://obamaspeeches.com/
はじめにReadabilityにかけた一文を読んで頂ければ一目瞭然!ほとんどが中学生で習う単語ですね。非常に理解しやすいです。
例3:
Times 誌:60点~70点
Flesch Kincaid Grade Level では8~9=13~15歳の学力レベルで理解できる文章
http://www.time.com/time/
WSJ同様、読み手の層が上がりますので学力レベルが少し高くなりますが、それでもやはり日本の経済誌に比べ非常に読みやすいライティングになっています。
<高い数値を出すポイント>
・短い単語
・短い文章
であることが「良い」数値を出すためのコツになります。
ただ、ここで過去のBlogでご説明させていただいた、「なぜPlain Englishが米国で大統領法として制定されたか?」その理由を思い出してください。
Plain Englishは様々な背景を持ったアメリカ国民に正しい情報を伝えるという考えから始まったライティング方法です。ですから、発信先が変われば文章の難易度は変わる場合もあります。例えば、学者向けの学術書などは、The Readability Toolsで「良い」数値を出すことは難しいです。
逆に、専門職種で、高い学力レベルが求められる弁護士でも、情報発信先に一般人が含まれるため、下記のような教材が配布され、Plain Englishのライティング手法がカリキュラムに含まれるケースがあります。
<補足説明>
・Plain English(平易な英語)=「読みやすい」=稚拙で単純な文章という方程式ではありません。
・上記の指標はあくまで目安であり、スコアが「良い」から英文ライティングが「良い」とは限りません。英語のネイティブでない方に、英文ライティングの品質をチェックする、ひとつのツールとして使用してください。
・ カンマを文末と認識するツールのため、計測する際には数値間のカンマは削除してください。
(例:1,500 billions →1500 billions)
・ Readabilityの指標はMicrosoft社のWordソフトでも確認いただけます。
手順1:初期設定のオプションで下記にチェックが入っていることを確認ください。
手順2:F7を押してください。赤枠の指標が確認できます。
日本語も英語もライティングされる際に、「聞き手と読み手」がいること、それを念頭に置いて文章を書くことが非常に重要です。自己満足で、難しい用語や椀曲した小難しい言い回しを使うのではなく、伝えたい相手に理解してもらえる文章!
それが、素晴らしいライティングへの第1歩です!
現在弊社ホームページ内に、貴社の英語の品質を無料査定させていただくためのお問い合わせページを開設中です。近日ご案内させていただきますので、ぜひご利用ください。
また、11月23日(土)14:00より弊社オフィスにて、「海外で通用するグローバルコミュニケーション」についてセミナーを開催致します。Plain Englishの重要性についてもご説明させていただきます。詳しくは上記のリンクをご確認ください。
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Mia Omatsuzawa 大松澤実絵
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