Plain Englishはいいところばかりじゃない….
逆説の観点を惜しげなく披露します!
これまでPlain Englishの利点ばかりをお伝えしてまいりました。
残念ながら、そんなPlain Englishにもライティングのスタイルが適さない文書もあります。
マニュアルや契約書などは、より具体的に、また、指定の専門用語を使用することが求められるため
Plain Englishのルールでは読み手にとって不十分な情報になる、また顧客のニーズに合わないケースがあるからです。
具体的にご説明させていただきます。
1) 正確性が十分でない場合がある
2) 翻訳費用の削減には適していない
3) 機械翻訳(Google翻訳、Excite翻訳など)には適していない
4) 世界基準のガイドラインがない
各項目について事例を交えてご説明いたします。
1)
正確性が十分でない
一つの英単語にはいくつかの意味が含まれており、また、違う英単語でも同じ意味を表すことがあります。
Plain Englishでは単語の意味をコンテキスト(前後の文脈)で判断するケースが多いため、
例えば下記の英文では、書き手と訳者が異なる場合、翻訳時の正確性が低くなる可能性があります。
例文:
The cost of each component is significant.
訳例1) コンポーネントの費用は膨大である。
訳例2) コンポーネントの費用は重要である。
訳例3) コンポーネントの費用は膨大で重要である。
significant には large や important などの意味があるので、書き手はどちらを伝えたかったのか、コンテキストだけでは翻訳者には判断がつかない場合があります。
2)
翻訳費用の削減には適していない
Plain Englishのガイドラインでは単語や言い回しを厳密に統一することを推奨していません。
例えば、下記の二つの文章の動詞は異なりますが同じ意味を表していますよね。Plain Englishのルールでは問題ありません。
・The booklet gives…
・The booklet sets out…
下記の5つの表現は異なりますが、すべて意味は同じになります。こちらもPlain Englishのルールでは問題ありません。
・From time to time
・In some cases
・Now and then
・On occasion
・Sometimes
マニュアルや契約書などの翻訳の場合は、出来る限り、同じ単語や言い回しを使用することが重要とされます。
理由としては、① 翻訳者が書き手に対して、単語の意味を確認する手間が省ける。② 同じ表現であれば、翻訳支援ソフト等を使用する際にレピテーションとして扱われ、翻訳費用を抑えることが可能である。ことがあげられます。
3)
機械翻訳(Google翻訳、Excite翻訳など)には適していない
Plain Englishは1) 2) の理由から機械翻訳に適したスタイルとは言えません。そのため、Plain Englishを機械翻訳にかけると精度の低い翻訳になるケースが多いです。
機械翻訳に適した、翻訳スタイルについては“The Global English Style Guide”というガイドがあります。用語やスタイルについてより限定的に指定しているスタイルガイドになります。
http://www.globalenglishstyle.com/
4)
世界基準のガイドラインがない
イギリス、アメリカ、南アフリカでは、Plain Englishのガイドラインが規定されていますが、実は、世界基準のガイドラインがありません。
Plain Enlishは現時点では、世界共通のルールが存在しません。
準拠法の例:
・‘Plain Writing Act of 2010’, US
・‘Consumer Protection Act, 2008’, Section 22, South Africa.
そのため、イギリスでは、3つのPlain Englishの品質を確認する査定機関があります。複数の機関によってPlain Englishの品質の査定を行うためです。
・Plain English Campaign
・Plain Language Commission
・The Word Centre.
Plain Englishには世界基準がないのであれば、どのガイドが正しいのか?その疑問にぶつかりますよね。 iinettoではPlain Englishのガイドラインを日本の方々が理解いただけるよう本Blogを通してお伝えしていく予定です。
引用元:http://www.techscribe.co.uk/techw/plain-english-problems.htm
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なぜ、本日Plain Englishの逆説について取り上げさせていただいたか。
それは、「読み手と聞き手」が変われば、ライティングの方法も変える必然性があることをお伝えしたかったからです。
原文(和文)も英文(訳文)も誰に向けて発信したいか、ターゲットを明確にし、ライティングすることが重要です。
マーケティング資料やIR資料、社長メッセージ、キャッチコピーなど、訴求力が求められる文書にはPlain Englishを是非、使ってください。
翻訳会社にご依頼される際、読み手と聞き手がどういった方なのか、どういった翻訳スタイルにされたいのか、
是非、お客様側から具体的なご要望をお伝えしてください!
続きは、Plain English -Part 5-にてお伝え致します。
We tell your story to the world!!
Mia Omatsuzawa 大松澤実絵
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