あなたの英語は大丈夫?

英語の読みやすさを図るツールをご紹介します

前回のブログの最後に、客観的に英文の読みやすさを計る数式が存在することをお伝えしました。

今回ご紹介する三つの数式とこの数式の要素がわかれば、読みやすい英文ライティングに関する専門知識を持つことができるようになります!

英語が得意ではなくてもよいのです。この英語はちゃんとしている、この英語はおかしいんじゃないか、とご自身で判断するヒントになることでしょう。

弊社では英文ライティングを評価するときに、三つを主に使っています。

それはこの数式です:

読みやすさの指標

. Flesch Reading Ease Score

. Flesch-Kincaid Grade Level

. Gunning Fog Index

なんだこれは?っと思うかたが多いかと思いますが、実は皆さんもお使いのMicrosoft Wordのツールとしても搭載されているんです。自分の書いた文章がどれだけ読みやすいかを数式で表してくれる指標であり、英語のネイティブの方でも使っているものです。

まずFlesch Reading Ease Scoreについてみていきましょう。

この数式自体は覚えなくても大丈夫です。

こちらが数式です(数式自体を覚える必要はありません):

206.835 – 1.015 x (total words/total sentences) – 84.6 x (total syllables/total words)

ここで注意していただきたいのは、数式に用いる変数です。

Total words = 言葉の数

Total sentences = 文章の数

Total syllables = 音節の数(例:hello = 2音節;company = 3音節)

※英語の辞書は音節も表示していますので、ぜひ見てみてください!

この数式を掛けて出てきた数字は、読みやすさのレベルを0から100までの段階で表してくれます。

ゼロに近いほどその英語は英語として読みづらいということになり、100に近いほど読みやすい英語であるという指標になります。

弊社では40を基準にライティングをするように推奨しております。

次は、Flesch-Kincaid Grade Levelです。

数式はこちらです:

0.39(total words/total sentences) + 11.8 (total syllables/total words)

この数式で出てくる数字は、欧米で使われている学年を表します。

例えば、8が出てきたら8 Grade=8年生(日本では中学2年生)なので、それぐらいの学年であれば理解できるという意味です。

このスコアが低いからといって、ライティングが単純だ、シンプルすぎる、ということではありません。あくまで、簡潔性、明確さの指数です。推奨するスコアは、あとに紹介します。

この数式の変数は、先程のFlesch Reading Ease Scoreと全く同じ変数です。

また、このFlesch-Kincaid Levelですが、米国国務省が標準として使っている指数です。

三つ目の数式はGunning Fogです。

Gunningはこの数式を開発した人の名前、fogは文字通り「霧」という意味です。

分かりにくい指標という意味で、出てくる数字は学年を表します。

数式はこちらです:

0.4[(words/sentences) + 100(complex words/words)]

この数式の変数はこちらです。

Total words = 言葉の数

Total sentences = 文章の数

Complex words = 難しい言葉

ここでの「難しい言葉」の定義は、音節が3つ以上の言葉です。例えば、globalization。これは音節が5つあります。

この三つの数式の変数の共通点、お分かりになったと思いますが、言葉の数と文章の数です。要するに、言葉自体や文章の平均長さです。

スコア上でも実際のライティングでも、英語では1センテンス平均で20ワード位で書くことをお勧めいたします。

前回のブログでも受動態だらけの英語はよくないということをお伝えしたと思いますが、これらの数式では受動態を直接検知はしてくれません。しかし受動態は能動態と比べて言葉が多いので、間接的には反映されるということです。

また、専門用語、社内用語、社内造語なども英語にすると長くなるのでスコアに影響します。

つまり、英語の読みにくい、読みやすいは言葉や文章の長さが大きな要素になるということです!

では、実際にこの数式が世界でどのように使われているか紹介したいと思います。

トランプ大統領の一般教書演説では、毎回演説が終わるたびに、この数式を使って内容がどの位のレベルであるか、報道機関が記事を書きます。

さて、2019年2月に行われたトランプ大統領の一般教書演説を、Flesch-Kincaid Reading Levelで測ったら、どの数字、どの学年だったと思いますか?

実は、トランプの一般教書演説をFlesh-Kincaid Reading Levelで計ったら、9.3でした。中3レベルです。

注意していただきたいことですが、この学年のレベルについては、その英語自体が明確でありわかりやすいかどうかという指標として考えていただければと思います。

またご参考までにオバマ大統領の2016年の一般教書演説は8.47、ブッシュ大統領の2002年の演説は8.46でした。

さて、では他の文書はどうでしょうか?

Flesch Reading Ease Scoreで表すと、ニューヨークタイムズ、米国で一番有力で有名な新聞の平均スコアが39です。Wall Street Journal は43、Harvard Business Reviewも43と言われています。大学レベルという感じで、少し難しい内容となります。

一般的に、アメリカで一番読みやすいとされている本はDr. SeussのGreen Eggs and Hamで、このスコアは120です。幼稚園から読めます。私も息子にはたくさんDr.Seussの本を購入しています!

弊社では和文英訳の場合、以下の数値を弊社の英訳の基準としてライティングを実施してております。

. Flesch Reading Ease Score  40+(大学以下)

. Flesch-Kincaid Grade Level 10-12(高1から高3)

. Gunning Fog Index     10-12

翻訳会社などに英訳の依頼をされるときは、作業が始まる前のお見積もりの段階から「このレベルのものを納品してください!」と、ぜひ読みやすさの数字を指定してみてください。

それでは実際にMicrosoft Wordのどの部分にこのツールがあるのかご紹介しますね。

いかがでしょうか?

ぜひ実際に自社の英文を読みやすさの評価の指標にかけてみてください。自社の英文の評価の一助となるかもしれません。

とはいえ指標はあくまでヒントです。良い数字=良いライディングとは限らない、逆にあまり良くない数字が出たとしても必ずしも悪いライティングというわけではありませんが、大きなヒントになると思います。

弊社でも英文評価レポートの作成を無償で行っております。今日ご紹介した指標もつかいながら、さらに詳細なレポートを作成しております。ご興味のある方はぜひ、以下よりお問い合わせください。

http://iinetto.com/satei/

英語は能動態が基本!

「英語は能動態が基本!」

前回のブログでは「良いビジネス英語は簡潔で明確です。」という話をさせていただきました。

そして簡潔で明確な英文を書くには、

ライティング自体と、ライティングをどのように見せるか(フォーマット)

という二つの要素を組み合わせることが非常に重要であるとお伝えしました。

また、「ライティングの三つのガイドライン」の一つ、「逆ピラミッドという原則」を紹介しました。

今回は二つ目のガイドライン「文章構造(特に能動態)」について書きたいと思います。

このような文章を読んだことはありますか?

冷凍食品は、多様なライフスタイルに対応できる食生活のソリューションとして、先進国を中心に今後も安定成長が見込まれる有望な市場です。さらに、「安心安全で、もっとおいしく」という生活者の欲求、食料の安定供給や環境問題等の社会課題への対応が期待され、冷凍食品の果たす役割は今後ますます大きくなっていくと考えられます。

非常によくある日本語の文章です。

日本の文化を反映しているのか、日本人の性質を反映しているのか…言い切りたくない、濁したいという言葉を耳にします。

特にIRのご担当者様からは、「これは柔らかく言いたい」「強く言いたくない」「具体的に言いたくない」と、聞くことが多いです。

明確ではないこのような文章構造を、「受け身」や「受動態」と言います。

受動態(じゅどうたい、英: passive voice)とは、典型的には、能動態とは違って行為者が主語にならずに、行為を受ける対象が主語となる態である。被動態(ひどうたい)または受身(うけみ)とも呼ばれる。(Wikipedia)

この説明は大変分かりやすいと思います。

受動態の構造を簡単に描くとこんな感じです。

ここでお伝えしますが、受動態は英語としては好まれる文章構造ではないということです。

受動態を使うと、何かを隠してるのではないかという違和感があります。

曖昧な言葉は英語では好まれません。誰が、何を、何に対して、ということを明確に知りたいです。

この受動態という文章構造を日本人は大変好む傾向があると思います。

しかし、受動態の日本語を英語にすることを考慮せずにそのまま英語にすると、不自然になることが多々あります。

では英語にするときはどうすればよいのか。はい、ここで能動態の登場です!

英語は能動態で書くことが基本です。

能動態の構造を簡単に描くと…

では、ここで、受動態を能動態にしてみましょう。

ABCグループは1972年に冷凍食品事業に参入しました。製品開発力、マーケティング力、生産技術を強みとし、社会の変化や新 たな需要へ対応していくことで、社会価値と経済価値を共に創出します。

この文章では「誰が」「何を」ということが明確です。

英語で受動態を全く使わないというわけではありません。

ここで覚えていただきたいポイントは、文章全体の10%前後が受動態だったら、問題ないということです。

それ以上になると、読み手は違和感を覚えると思います。

受動態の割合をどう計るか、これに関しては次回のブログで説明したいと思います。

そしてここでもう一つ、「この英訳だと強い言い方に感じるので、日本語と同じように、もう少し丁重に、謙虚に表現したい」というお言葉をよく聞きます。

実は、皆さまが想像されるほど、強い表現の英語というものはありません。

英文が強く感じるかどうかは、形容詞と副詞をどのように使うかでほぼ決まります。

しかし、そもそも良い英文のビジネスライティングでは形容詞と副詞を多用しないので、問題ないと思っています。

私が翻訳をするときは、日本語の原文で使われている形容詞や副詞で、必要がないものや、その文章の中で特に意味を持たないと思うものはできる限り割愛し、割愛する理由をお客様に説明するようにしています。

時間がある時にゆっくり海外のIRライティングを読んでみてください。

読みやすく、簡潔で明確な文章は、形容詞と副詞が少ないということに気がつくと思います。

前回とここまでで、

逆ピラミッドという原則

文章の構造(特に能動態)

について紹介させていただきました。

では、 最後に 「ライティングの三つのガイドライン」で話したいことに移りたいと思います。

貴社が使っている英文・グローバルビジネス英語が外国人にとって読みやすい英語かどうか、どのように判断できますか?

外注されている翻訳会社の英訳の品質の良し悪しに対して、どのような判断基準を持っておりますでしょうか?

読みやすいという言葉を使いましたが、説得力という言葉を使ってもいいかもしれないです。

外国人の株主や投資家にとって違和感のない文章であるかどうか。

実は、客観的に英文の読みやすさを計る数式が存在します。

面白いことに、世界の共通語は英語ではなく数学であるという説があります。

私が紹介する数式と、この数式の要素がわかれば、読みやすい英文ライティングの専門知識を持てるようになります。

全く英語ができなくてもいいんです。この英文はいいかもしれない、この英文はおかしくないか?というヒントになります。

弊社でも、英文ライティングを評価するときに、必ず三つの数式も使い評価をしております。

次回のブログでは、わかりやすい英語なのかを評価する、この三つの数式についてお伝えしたいと思います。

Reference: ウィキペディア(Wikipedia)受動態

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%97%E5%8B%95%E6%85%8B

英語のレベルによって株価や出来高は変動する! [ハーバードビジネスレビュー研究結果]

今回のブログではHarvard Business Review(以下、HBR)のある記事を紹介したいと思います。
「エグゼクティブの英語力は投資家の判断を左右する」というもので、非常に興味深い研究結果が報告されています。
以下、HBRの記事を日本語に要約しましたので、シェアさせていただきたいと思います。

投資の世界はグローバルになりました。
今日の外国ファンドが保有する上場企業の株式は、2000年から8倍以上に増えています。
そんな中、多くの米国企業が取り入れているのが「earnings calls」というものです。
「earnings calls」とは決算報告の電話会議のことで、ライブ配信する企業が増えてきています。
この投資家向けの電話会議は大量の出来高につながり、株価が大きく動くこともあります。
そのため、経営者は電話会議の進め方に関するコーチングを受けたりもしていますが、電話会議の評価を決める重要な文化的要因について理解をしていない人が多いのです。
HBRの研究よると、決算報告の電話会議で、経営者が財務関連のニュースをどのように話すか分析した際、特にリハーサルのないQ&Aセッションにおいて重要なパターンがあるということです。
電話会議で伝えるニュースが一定であっても、伝達者の母語や文化的背景によって、市場は異なる反応を示す。
つまり、「何を」だけではなく「どのように」伝えるかが重要であるということですね。
まず、言語的な面についてお伝えしたいと思います。

ビジネスの世界でのコミュニケーションは、今日、英語がスタンダードとなっています。
世界中の経営者は、投資家とコミュニケーションを取る際に英語を使用する必要がありますが、英語を母語としない経営者も増えています。
非英語圏の経営者がどれだけ英語を上手く話せるかは非常に重要であると言えます。
HBRは、2002年から2010年の間に4,500社以上の非米国企業を対象にある研究を実施しました。
その研究では、決算報告のスクリプトの、特にリハーサルのないQ&Aセッションにおける経営者の自発的な回答に焦点を当てました。
焦点を当てたのは主に2つの点でした。

1つ目はlinguistic complexity (複雑な言語使用)に関してです。
これは弊社でもご紹介しております、プレイン・イングリッシュ(※)のルールからどのくらい外れているかというもので、話者が、
・比較的短い文章や単語を使用する
・受動態やネガティブな表現、不要なフレーズを避ける
・Weやyouといった人称代名詞を用いる
とコミュニケーションがより円滑、明確になるということでした。。

2つ目はerroneous expressions(表現の誤り)に関してです。
話者が、どのくらいの頻度で、
・文法のミスをするか
・誤った受動態を使用しているか
・脈絡のない文章構造であるか
といったもので、これらは主に英語ネイティブではない話者に見られる典型的なミスでした。
英語圏から離れた国の話者にこのようなミスをする傾向が見られました。
弊社でもいつもお伝えしておりますが、日本語から英語にただ直訳してしまうと受動態の密集した文章になってしまうので要注意なのです!!
また、曖昧な話し方をした経営者の企業は、出来高の減少、小幅な株価変動、アナリスト予想に一貫性がない等、マーケットの影響を受けていることも分かったということです!
つまり、複雑な表現を避けると、出来高を増加させることができるというのです。

ここまで聞くと、通訳者を雇えばいいのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、通訳者は経営者の持つビジネスのファンダメンタルズを理解できるレベルであることは滅多にないため、通訳者を介した場合の方がlinguistic complexity(複雑な言語使用)が高くなることも分かりました。
そのため、決算報告の電話会議で通訳者を起用する企業はほとんどないそうです。

次に、文化的な面についてもお伝えしたいと思います。

今日、企業は国内外の投資家から膨大な資本を調達するため、異なる文化的背景を持つ経営者や投資家同士でコミュニケーションを取る必要が高まってきています。

経営者の文化的背景が投資家とのコミュニケーションにどの程度影響するか、というある研究では、個人主義的なアングロサクソン系の人種は、集団主義的な東南アジア系の人種よりも楽観的(ポジティブ)で自己言及的な言語を使用するという仮説が立てられていました。
仮説を検証するため、50,000以上の決算報告スクリプトにおける約25,000人の経営者(主にCEOやCFO)からの回答をベースに、どのくらいの頻度でポジティブなワードやネガティブなワードを使用するか、一人称の「I」をどの位使用するか等を調査したということでした。
経営者の文化的背景が個人主義的であればあるほど、アナリストに対する反応は楽観的(ポジティブ)で、一人称の「I」の使用頻度も高かったということでした。

また、アングロサクソン系以外のルーツを持つ経営者は、米国を拠点としていても、独自の文化的側面を残しており、時間が経過しても何世代にもわたって残るというのでした。
アングロサクソン系と東南アジア系のCEOが、同内容の決算報告を行ったとすると、楽観的な(ポジティブ)なアングロサクソン系のCEOの企業では株価に大きな動きが起こり、楽観的な言葉をあまり使わない文化的傾向のある企業では、その企業の業績が十分に評価されない可能性があるということでした。

企業の経営者と文化的はバックグラウンドを共有できる投資家は例外的な存在と言えます。
その様な投資家は、文化的なニュアンスを解釈して企業の決算報告にも対応するため、理解している投資家を持つことは企業にとっては重要です。

また、別の研究では、CEOとCFO、そして男性と女性の間にも同様の相違点があることが判明したということでした。
民族性はさておき、CEOや男性経営者は、CFOや女性経営者よりも楽観的(ポジティブ)で自己言及的な言葉を使っていることも分かりました。

電話会議で伝えるニュースの内容が大切であることは言わずもがなですが、特にQ&Aセッション中の電話会議の進行の仕方も重要です。
英語を使用すること、アングロサクソン系のポジティブな文化的行動は今やビジネスの世界では当たり前になっています。
HBRの記事では、決算報告の電話会議を行う経営者は、伝えたいニュースを明確に、楽観的(ポジティブ)に、そして自己言及的に伝える必要があると締めくくっていました。

Plain Englishを使った英訳開示の重要性については、弊社としても長年お伝えし続けていることです。また、株価や出来高に大きな影響を与える要素となっているという研究結果を見ると、ますます日本企業がグローバル市場で勝ち残るには、明確、簡潔なPlain Englishを使用しての英文開示による重要性を意識していただきたいと思います。


貴社の英文開示資料はPlain Englishになっていますか?
弊社では貴社の英文を無償で評価レポートの作成も行っております。ご興味のある方は、ぜひ下記のリンクよりお問い合わせください。
http://iinetto.com/satei/

※ プレイン・イングリッシュ(英語: plain English, 「平易な英語」の意)は、明確さと簡潔さを強調し、専門用語を回避するコミュニケーション様式の総称であり、とくに法律を含む政府の公式発表等と関係したものである。目的は、対象とする読者に容易に理解できる方法で記述することである。その読解力と知識に適しており、クリアでダイレクトであり、陳腐な表現(クリシェ)や不必要な隠語(ジャーゴン)のないものである。(Wikipedia)

ご興味のある方はプレイン・イングリッシュガイドブック(米証券取引委員会発行)日本語ダイジェスト版を下記にてダウンロード可能です。
http://iinetto.com/library/Plain_English.html


参考URL:
https://hbr.org/2019/08/research-executives-english-skills-affect-the-outcomes-of-earnings-calls

簡潔で明確な英文を書く上で 非常に大切な2つの要素とは?

コミュニケーションは、すべてグローバルコミュニケーションです。
これだけ覚えれば貴社のコミュニケーションが自然と良くなっていく!という内容を全5回のシリーズで紹介したいと思います。

 第1回目…「簡潔で明確な英文を書く上で、非常に大切な2つの要素とは?」
 第2回目…「英語は能動態が基本!」
 第3回目…「読みやすさは指標で測れる!」
 第4回目…「ライティングをどう見せるか…重要なフォーマット」
 第5回目…「読む目印、リーディングガイド」

私自身、翻訳をはじめ、マーケティング、本、スピーチライティングなど、20年以上、コミュニケーションの業務に携わってきました。
そして、今まで200社以上の日系上場企業の公開されている英文を評価してきました。

そこで、残念なお知らせがあります。

この20年、日本企業が発信している英文コミュニケーションはほとんど進化していない、ということです。
20年前の日系企業が公開している英語のマテリアルと、現在の日系企業の英語を比べてみても、残念ながらほぼ変化はありません。

海外のトップ企業と同じレベルの英語でコミュニケーションができればいいな、と思ったことはありませんか?
もっとうまく英語の表現ができたら、海外の株主といい話ができれば、機関投資家のアナリストの質問にうまく答えることができれば…。

現在の日本…グローバルコミュニケーションにおいて他国に遅れをとっています。これは言語の壁だけではないです。ほかにも理由があります。

この状況は誰のせいですか、誰の責任ですか?
日本の教育?日本の文化?日本人独自の性質?
どれも要素の一つではあると思います。
しかし、責任が一番重いのは、我々和文英訳の翻訳者です。

和文英訳者の英文ライティング技術が全く進化していないので、日本のコミュニケーションが進化してないのが実情です。
文法や句読点の間違い、グローバルビジネス英語とは言えない表現や文章の構造。

この場をお借りし、翻訳業界を代表してお詫び申し上げます。
誠に申し訳ございません。

この話はショックかもしれませんが、私から言わせれば、皆さんが大切な対外コミュニケーションを任せている翻訳会社は、英文ライティングのプロが存在していないというケースがほとんどです。
それどころか、大学の英文ライティングの授業でパスできるかできないかのギリギリのレベルの英語を成果物として皆様に納品しているとケースがほとんどだと思います。

「え?英語のネイティブなのに、英文が書けないとは、どういうこと?」と思いますよね。
ご自分の経験を振り返ってみてください。
日本人として、日本語の文章を読んで、「この人文章が上手い!」と思う方、そうそういないと思いませんか?

皆様が英語をネイティブレベルで自由自在に使えたら、海外企業とゼロベースのスタート地点になれる訳です。
ということは、和文を何とかして英文にするのが向こうのゼロベースになります。
「翻訳が完了したので納品します。最終版をお送りします。」
その翻訳会社が言う最終版は、たたき台の英文にすぎません。

では、どのようにこの状況を乗り越えられるか?そもそも、乗り越えることができるのか?
私は乗り越えることはできると思います。

日系企業も海外のIR優良企業と同等の説得力のある英文マテリアルを出すことができると思います。
英語のネイティブではない日本人であっても、英語、英文法、それなりにできるスキルはあると思います。

そもそも、ネイティブではないという理由以前の問題があるのです。
その問題に打ち勝つためのヒント、一番役に立つと思うガイドラインを紹介させていただきたいと思います。

「良いビジネス英語は簡潔で明確です。」
そして簡潔で明確な英文には、非常に大切な要素が2つあります

一つの要素はライティング自体です。
正しい文法、正しい文章構造、正しい句読点使い、適切な表現、適切な言葉選び。
これらを間違えると、御社の伝えたい大切なメッセージが正確に伝わらない可能性が出てきます。

もう一つの要素はライティングをどのように見せるか、いわゆるフォーマットです。
英文の質がそれほど良くなくても、効果的なフォーマットを使えば伝えたいメッセージを有効に共有することはできます。

この二つの要素を上手く組み合わせれば、海外のどの企業とでも、対等に説得力のある英文で戦うことができるでしょう。

ではまず、ライティングについて書かせていただきます。
いいライディングにはルールがあります。ルールというよりは、ガイドラインと思っていただければ良いかと思います。

今回紹介するのは、私が一番重要だと思っているガイドラインです。
これから紹介するガイドラインは、私自身も英語のネイティブに教育したいと思っているものです。
これらのガイドラインをしっかり頭の中に入れ込んでいただければ、英語自体に自信がなくても、御社のコミュニケーションが良いものなのか、改善できるものなのか、自信を持って判断することができるようになります。

それでは、私が一番重要だと思っている「ライティングの三つのガイドライン」を紹介させていただきます。

  • 逆ピラミッドという原則
  • 文章の構造(特に能動態)
  • 読みやすいライティングが指標で分かる

今回のブログでは一つ目の「逆ピラミッドという原則」について書きます。

良いビジネスライティングと新聞の記事には非常によく似ている部分があります。
新聞の記事を考えてみてください。
新聞は紙媒体です。現在のネット媒体と違って、テキストが入るスペースが限られていますよね。
白黒時代の映画では、新聞業界をキャプチャーする場面が多かったですね。
当時憧れの業界だったからでしょう。

新聞の編集長(葉巻をくわえながら)が記者に指示をします。
「エリック君!今日4時までに1,000ワードの記事を出してくれ!」

なぜワードの数を指示したか、それはページのスペースが決まっているからです。
さて、ここで1,000ワードの記事ができましたが、なんらかの理由で、そのページには200ワード分のスペースしかない、となった場合、どうなるか分かりますか?
もちろん、書き直す時間はありません。

そういう時は、編集者が記事を下から切ります。

今、切ると言う言葉を使いましたが、昔は全て紙媒体だったので、実際にスペースに合わせるために記事を切りました。
こういう状況で、ニュースやメディアの業界では、逆ピラミッド方式と言う書き方が主流になりました。
要するに一番重要な情報を一番頭から伝えるという方式です。
例えば、1,000ワードの記事を下から切られても半分切っても、一番重要な情報は必ず残るわけです。

未だに、メディア業界は、この逆ピラミッド方式を使ってます。
テレビやラジオも、新聞や雑誌も。

そこで、一番重要な情報とは、何かですね。
誰、何を、どこで、いつ、なぜ、そしてどのように。
これを英語で言うと【five w’s and one h】と言います。
Who, What, Where, When, Why, How

グローバルビジネス英語も、この逆ピラミッド方式が基本です。
IRマテリアルだけではないです。メールの書き方もそうですね。
一番重要な情報を、最初に書きます。それから、詳しい情報、補足説明、などを書きます。

一つ、事例を見てみましょう。

日経新聞のイブニングニュース、冒頭です。見出しは、別として、第1段落を読んで見ましょう。

「KDDI(au)は電力・ガス販売で東京電力ホールディングス(HD)と提携する方針を固めた。auの携帯代と電気・ガス料金をまとめて払えば、数%の割引を受けられるようにし、携帯電話の解約を抑える。東電はauがもつ4000万人の顧客基盤を生かし、電力小売りで生き残りを狙う。飽和市場で大規模な顧客数をもつ異業種同士の連携が増えそうだ。」

この4、5行だけで大体5W1Hが分かりますよね。素晴らしいライティングだと思います。
そして、冒頭の文章を読むだけで一番重要な情報が分かります。

日本語の文章は、起承転結と言う構造で書かれていることが非常に多いです。
あるいは、一般的な情報を冒頭に、その情報の背景などを説明し、そして結論。
一番重要な情報を最後に持ってくる、こういうパターンが多いですが、英文のビジネスライティングのガイドラインと異なります。

欧米でも起承転結という方式を使わないわけでもないですが、大体、小説や映画の世界です。
しかし、私たちが書くのはビジネスライティングです。
英文は、なるべく結論から書きましょう。

さっき、何も解説しなかった日本の例文を紹介しましたがちょっと見てみましょう。

この中で一番重要な情報は何でしょうか?最後にきていますね。
これは日本の典型的な書き方と言えると思います。
日本人から見ればすんなり入ってくる良いライティングと思われるかもしれません。

しかし、これをこのまま、この順番に英語に翻訳してしまうと、外国人は違和感を覚えます。とりあえず結論から言ってくださいと。
貴社の株主や投資家の立場から考えて、一番重要な情報、一番知りたいであろう情報は何なのでしょうか?一番の核となる質問は何なのでしょうか?
もちろんマテリアルの種類にもよりますが、そのマテリアルにおいて、株主や投資家が一番知りたい情報から書いていくことを心掛けていただきたいです。

次回のブログでは、「文章の構造(特に能動態)」について書かせていただきます

Reference: 日本経済新聞電子版 2019/2/18 18:00
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41410870Y9A210C1TJ2000/?nf=1


海外ロードショーベストプラクティスーアメリカ編(前半)

Business People Handshake Greeting Deal at work.

どのような投資家のためにプレゼンを作るか。長期投資家?あるいは短期の利回りを強調する投資家?というターゲットを特定することも大切ですが、プレゼンの目的は、会社のビジネスモデルとその業界におけるリーダーシップにおいて投資をしてもらうためのアピールです。基本、長期・短期どちらの投資家でも、求めている点はほぼ共通しているといってよいでしょう。 違いがある部分については、個別ミーティングを持つ、あるいは、その投資家向けのスライドを数枚補足してあげることで、十分にカバーできると思います。

どのようなプレゼンテーションでも重要な要素が二つあります。

その一つは当然ですがプレゼンの内容です。いわゆるコンテンツです。

これは、貴社のビジネスアイディア、市場規模、中長期ビジョン、それを達成する人財力などを説得する材料です。

そして、もう一つは、コンテンツを効果的に見せるフォーマットです。

説得力ある内容であっても、外国人投資家にとってわかりやすい、アピール性の強い見せ方をしなければなりません。

今回は欧米におけるロードショープレゼンのベストプラクティスのご紹介として重要なフォーマットとコンテンツについて、各カテゴリーを前半後半の2回に分けてご紹介していきたいと思います。

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「中期経営計画」の英訳~貴社はどのように翻訳されていますか?~

先日中期経営計画の英訳について、日本企業の多くは、2パターンの英訳を使われていることについてお話いたしました。1つはmid-term management plan、もう一つはmedium-term management planとなりますが、mid-term management planは間違いであるということをお伝えしました。

今日は正しい翻訳、Medium-term management plan について、さらに深くお話ができたらと思います。
この用語は正しい翻訳であり、また、多数の日本企業様が何年も使っている英語です。弊社のクライアント様におきましても同様です。

しかし、英語のネイティブの目線から、そして、グローバルの視点で英文のコミュニケーションサービスを提供する我々の立場からしますと、この用語は少し曖昧な印象を受けるということを
今日はお話させていただければと思っております。少しでもこの観点が皆様のグローバルコミュニケーションにおいて役立つものとなれればうれしいです。

まず、medium-term =日本語でいう中期にあたりますが、中期とは明確な期間でいうと何年という意味でしょうか。 “「中期経営計画」の英訳~貴社はどのように翻訳されていますか?~” の続きを読む

知っておいて損はない、ビジネス英語で使う数字表記:9つのルール

 

弊社でクライアント様から英文の校閲やリライトのご依頼がある際、修正をすることが非常に多い数字の表記の仕方について。
意外と知られていない、しかしとても簡単なルールなので、ぜひご紹介できればと思います。

実際、弊社のクライアント様からご相談いただく際においても、翻訳料を支払って完成させた英語だったにも関わらず、正しい表記ができてなく指摘させていただくケースもございます。
これだけ知っているだけでも、英語の質(ビジネスライティングができているか)の判断のポイントの一つとなるかもしれません。 “知っておいて損はない、ビジネス英語で使う数字表記:9つのルール” の続きを読む

通訳を使うプレゼンテーションで最高のパフォーマンスにするための11の法則

How to use an interpreter

 

グローバル化が進み、大企業だけではなく、中小企業においても、益々海外との取引が増えていくいま、通訳の需要も増えてきていると思います。

弊社の国際コミュニケーション事業においても、通訳のお問合せやご依頼が非常に増えてきていると実感しております。また、実際に通訳者を使い、助けられたというご経験をお持ちの方、逆にひどい通訳者だった、と残念なご経験をお持ちの方もいるのではないかと思います。

本日のブログでは、通訳を使うことがある、あるいは、今後使うことになりそうな方にぜひ読んでいただきたいと思います。

“通訳を使うプレゼンテーションで最高のパフォーマンスにするための11の法則” の続きを読む

熊本地震における当社支援活動についてのお知らせ

pray for Kumamoto

 

この度の平成28年熊本地震により被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

iinettoでは被災者支援活動を開始されているクライアント様に対し、その支援活動の呼びかけに関する公開リリース記事について、翻訳を無償提供いたします。翻訳言語については、英語、中国語(簡体字)、台湾語(繁体字)、韓国語、その他言語においてもご相談ください。

弊社でお取引きのない企業様においても、ご相談を受付けますので、info@iinetto.com、あるいは、03-5534-9011までご連絡をお願いいたします。