Annual Report Best Practice 2015 第1回
さあ、今年もアニュアルレポートの季節がやって参りました。キックオフミーティングも始まったころではないでしょうか。
企画で行き詰まってしまっている。今年は新しいアイディアを取り入れたい。海外版に力を入れたい。そんなご担当者さまに向けて、昨年に引き続き、世界のアニュアルレポートのベスト・プラクティスを4回に渡ってご紹介いたします。
何よりも大切なものはレポート全体を通して伝えたいストーリー
どんな会社にもストーリーがあります。
例えばどんな想いをもってスタートした会社なのか。お客様にこんな想いを届けたくて製品をお作りしています!とか…
弊社であれば “We tell your story to the world!!”
「みなさまの想いを世界に通用するメッセージで発信させていただくこと」です。
言うならば会社の本質のようなものです。
アニュアルレポートにもストーリーがあります。
その年に発信したいメッセージ。読み終えたときに、読み手の記憶に残したいメッセージです。
今年は、アニュアルレポートに盛り込まなければいけないコンテンツはこれとあれと…..それだけで考えなければならないことは盛りだくさん頭の中はすでにそれでいっぱいかもしれません。
1つ1つの内容も非常に重要ですが、そればかりにとらわれて大切なことを忘れてストーリーをおろそかにしないようにしてください。
実は、これが実践できている企業は日本日本だけではなく海外でも多くありません。
ストーリーがなぜ重要か?
アニュアルレポートは業績情報や財務データを発信するビジネスレポートですが、まず1冊の読み物である必要があります。
読み終わったあとに、この本は何を伝えたかったんだろう?と思わせるレポートは、読者の記憶には残らない読み物です。
また、コンテンツ1つ1つの内容は充実していても、前後のコンテンツとのつながりがなければメッセージ性は低くなります。
コンテンツ全体につながりを持たせることで、レポートの説得力が増します。
読み手に伝えたいメッセージを感じてもらいたいですよね。
一貫性のあるメッセージが盛り込まれ、全体にストーリーがあるレポートは、読み手の記憶に強く残るものです。
レポートを通して伝えたいストーリーをまずチーム内で明確にしてください。
そしてチーム全員で共有することが良いレポート作りの第一歩です。
ストーリーを伝えるために欠かせない3つの要素:
Theme・At-a-Glance・Readability
ストーリーを伝えるために欠かせない要素がこの3つです。どんなものか簡単にご説明しましょう。詳しくは実際のケースを交えながら以降のブログでご紹介していきます。
Theme テーマ
テーマとは、ストーリーを裏付けるために必要なレポート全体の骨組みです。
よいレポートには、1つのテーマが一貫して盛り込まれています。テーマを全てのコンテンツにリンクさせることで、レポートに一貫性が生まれます。
At-a-Glance アット・ア・グランス
一目でわかるページ。
聞きなれない方もいるかもしれません。
日本では、スナップショットとも言われています。
どんな会社なのかが一目でわかるページです。
どういった事業構成なのか、主力製品はなにか?業績のハイライトを盛り込む企業もあります。
これらが、一目見てぱっと理解できるページが必要です。
読み手をレポートに引き込むきっかけでもあり、簡単に短時間で理解してもらうためのページでもあります。
グラフィックを使った視覚情報はテキスト情報に比べ60,000倍の速さで人間の脳に送り込まれます。また、脳の記憶を占める割合は、80%が視覚、20%が読解、10%が聴覚から得た情報と言われています。
Readability 読みやすさ
1文の文字数を数えたことありますか?
70文字を超えていたら要注意です。
日本語特有の曖昧な表現を使ってませんか?
あれ、これ、それ。指示代名詞は文章を難解にする傾向があります。
冗長的な表現を使ってだらだらと文章を書いていませんか?
何を言いたいかわからない文章はアニュアルレポートでは好ましくありません。日本人が好む冗長的な表現はビジネスでは御法度です。
欧米方式でいきましょう。
まずは、結論から伝え、その次のパラグラフから具体的な事象、実績、数値情報と詳細を説明していきましょう。自分だけの目線ではなく、読み手の目線になって、一番重要な情報から伝える構成にし、読みやすい文章を書いていきましょう。
実際のテクニックやケースも以降のブログでご紹介します。
2015年アニュアルレポート ベスト10
Reportwatchが発表した、2015年アニュアルレポートランキングをご紹介します。
英国のe.com社が運営するreportwatchは、世界中のビジネスレポートのボトムアップを目指した評価機関です。
各レポートへのリンクは下記を参照ください。
Potash
http://potashcorp.s3.amazonaws.com/POT_2014_AIR_Full_Book.pdf
AkzoNobel
https://www.akzonobel.com/system/images/AkzoNobel_Report_2014_EN_tcm9-90769.pdf
SCA
http://www.sca.com/Documents/en/Annual_Reports/sca-annual-report-2014.pdf?epslanguage=en
Stora Enso
http://assets.storaenso.com/se/com/DownloadCenterDocuments/Progress_Book_2014_ENG.pdf
Boliden
http://www.boliden.com/Documents/Press/Publications/Boliden_ar14_2015-03-17_ENG.pdf
Volvo
http://www3.volvo.com/investors/finrep/ar14/ar_2014_eng.pdf
General Electric
https://www.ge.com/ar2014/assets/pdf/GE_AR14.pdf
SAS
http://www.sasgroup.net/en/wp-content/uploads/sites/2/2016/02/SAS-Annual-Report-2013-2014-B.pdf
引用元
http://www.reportwatch.net/annual-report-on-annual-reports-2015/top-400-annual-reports/
弊社で昨年発行したアニュアルレポート ベストプラクティス2014でも、今回1位を受賞しPOTASH CORPは何度か紹介させていただきました。
昨年も素晴らしいIR活動をしています。ウェブサイトも必見ですよ。
無料レポートのダウンロードはこちら
ANNUAL REPORT BEST PRACTICE 2014
2014年のアニュアルレポート ベスト・プラクティス
元監査法人のアメリカ人ネイティブ エリック・ジャクソン監修
http://iinetto.com/library/AR_Best_Practice_2014.html
コンテンツ
・アニュアルレポートは、ストーリーを発信する最高の素材
・掲載内容のイロハ
・手にとって読みたいと思わせる表紙、印象を残す裏表紙
・短時間に効果的に貴社のストーリーを伝える技。 それがAt-a-Glance(アットアグランス)
・スナップショットのように、一目ですぐわかる効果的で有益な財務ハイライトの見せ方できていますか?
・この人の経営に賭けてみたい!と思わせるトップメッセージ
・従業員もビジネスパートナーもベンダーもステークホルダー!
・機関投資家以外向けの任意ページ
・貴社のストーリーを発信する貴重なチャンス、しっかりと捕まえませんか?
・【参考】アニュアルポレートまめ知識
We tell your story to the world!!
Eric Jackson エリック ジャクソン
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